決められた通りの作業を維持するための作業標準書

決められた通りの作業を維持するための作業標準書

1.作業手順の意図・目的を理解させる

作業標準は、個人の判断による曖昧な作業により、図面通りの製品品質が造り込めないといったことをなくすものである。

適切な作業標準があっても、その作業手順の意図・目的が理解されてない場合(=手順通りしないと、どのような影響があるのか)、効果が半減されてしまう。

作業手順のみを教えるのではなく、その手順の意図・目的を作業する人に理解してもらうことが重要である。

 

(例)この作業標準を守れなかったどうなる→燃料漏れが発生(それにより機能不具合ひいては車両火災発生の恐れ)

 

2.守れる作業標準作り

守らなければならない人自身が意見を出し、作成に参加することが必要である。

頭で考えた標準では、守れない・守られない標準となってしまう。

自分のレベルでやれる・やれないの判断をするのではなく、全くの素人でも実施できる内容にしなければならない。

標準作業を守れない理由の多くは、『作業のやりにくさ』に起因している。

 

3.具体的・客観的で読み手に親切な標準

『まずい表現』→『判り易い表現』

『強く締める』→『2.5±00.1N・mの力で締め付ける』

『十分に塗布する』→『全周に1cmの幅で塗布する』

『しっかりと組付する』→『両端面が密着するまで押し込む』

『間違いのないように取付ける』→『AとBの表示が一致することを確認後、取付ける』

 

4.改善・維持・改訂を継続し、『常に未完成』と考える

標準作業は一度作成したら終わりではない。

常に高い目標を掲げ、改善し続けること。

進歩の足かせとなるようではいけない。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。