改善のための考え方
改善の基本は「現場をよく知ること」である。
<第1ステップ>
どんなことでも”事実は事実”として、忠実に観測することが大切である。
いささかも主観的判断を交えず、全面的に肯定しなければならない。
<第2ステップ>
しかし改善考察の段階に踏み込めば、徹底的に”現状を全面的に否定”するという態度でなければならない。
この「全面肯定・全面否定」に徹しきれず、改善が中途半端になってしまうことが多い。
ヘーゲルいわく
「我々は”未知”の畑だけからしか”知識”を穫り入れることはできないと思い込んでいる。
しかし実際には、もっと多くのものを”既知”と考えている畑から穫り入れることができるのである」
我々は”知らない”ことに対しては、いろいろな手段の探求を素直に行うが、もし”それは知っている”と思っている場合は、
「もう他に方法はない」
「今までこれでやってきて良かったのだから、今更別の手段を考えることもないであろう」
と、積極的に”新しい手段の探求”をなかなか行わないものである。
結局それは、”現状作業の観察”を徹底して行わないことに問題があり、徹底して観察すると、実は”知ってるつもり”でも、本当は”よく判っていなかった”ということが度々あるものである。
この点にこそ、飛躍的な改善案が生まれる機会がある。
*新郷重夫「工場改善の具体化と実例」より