稀有なソフト力でSIの新時代を創るオフィス エフエイ・コム

稀有なソフト力でSIの新時代を創るオフィス エフエイ・コム

私は産業用ロボットのコンサルタントとして全国のSIを見聞きしてきましたが、今回ご紹介するオフィス エフエイ・コム(http://www.office-fa.com/)は、ロボットなどのハードに精通しているだけでなく、ソフトの力も非常に優れているという今までの日本では到底考えられないSIです。

私の過去の記事でも、日本のものづくりの会社はハードには強いが、ソフトが海外に比べて非常に弱い、よって生産効率が上がらない、と申してきました。しかし、このSIのソフト力は世界屈指の実力を持っており、その実績もあります。よって、私はこのSIが『日本のSIの常識を変える』『新しい時代を創る』と思っております。

この会社の飯野社長にインタビューをしました。
 

Q.御社の強みは?

一般的なSIは、ロボットや周辺機器などのハードを電気的・機械的に繋げて動作をプログラミングし、お客様に納品するまでが仕事です。弊社は、それらハードの制御だけではなく、MES(製造実行システム)や生産管理システムなど上位側システムも自社で全て行う事ができ、効率良くシステム構築をする能力を持っています。

また、コストを最大限削減したシステムを提供いたします。これらが重要な理由は、顧客はハード『そのもの』が欲しい訳ではなく、「生産効率のアップ」「省人化」「働き方改革」などを叶える事を望んでいるからです。

具体的にいうと、弊社はコンピュータ、センサー、カメラ、IoT、これらとロボットの連携を全て自社で行う事が出来るという事です。

 

さらに、物流のシステムを構築できるので、ロボットのシステムだけでなく工場全体のシステムを自社だけで全て行う事ができます。

また、社員数は約200名で、その殆どがソフトにも強いエンジニアである事も、他のSIには真似が出来ない事です。

そして、SIとしての能力の高さを示す証拠として、2018年10月に開催された『World Robot Challenge(WRC)2018』で、世界のレベルの高いSIが16チームも参加する中で、弊社だけが課題をクリアし3位に入賞しました。これは、弊社がロボットだけでなく、力学センサーやカメラなどを制御する能力が世界と勝負しても優れている証拠です。

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▲WRC2018表彰式にてオフィスエフエイ・コムの飯野英城社長(右から2番目)

 

Q.御社のターゲットは?

これからのターゲットとしては、食品や物流、そしてアパレルになります。「SIなのだから製造業では?」と思われるかもしれません。もちろん製造業がターゲットですし、実績もあります。

ただ、食品などは殆どが自動化されておらず、人が作業の殆どを行っているというのが現状です。今まで工場の自動化をできなかった理由は、形が固定ではないので、センサーやカメラでの認識が非常に難しいからです。

弊社は、これらの難しい制御も自社だけで全て行うだけではなく、顧客が望むレベルで提供できる自信がある為、これらがターゲットになります。

Q.苦労されている点や弱点は?

エンジニアの人材を増員する事と育成する事に苦労しております。

育成においては、弊社はロボットの電気・機械設計だけでなくソフトも含めた全体のプロジェクト管理をしておりますので、この管理ができる人材を育てなくてはなりません。今までは、電気なら電気、機械なら機械、ソフトならソフトが出来る人材が居れば良かったのですが、これからの時代は『これらを顧客が望まれるように連携』させなくてはなりません。

例えば、システムの中で電気・機械の担当がソフトの知識を持たずに仕事を完了した後、ソフトの担当者がそれに合わせて制御する、というようではソフトが100%能力を発揮できないのです。

また、全体のプロジェクト管理が出来るように育てる事は、FAに慣れている人ほど今までの概念に囚われているので、苦労しています。

 

弱点は、ロボットのティーチング工数を削減するソフトを持っていない事です。弊社はロボットのティーチングが出来る人材が50~60名ほどおります。ハンドリングなどの簡単なティーチングであれば短時間で出来るのですが、溶接などの難しいティーチングがあるとどうしても工数を要します。その弱点を埋める事もSIとしては重要な為、富士ロボットさんのティーチングソフトでカバーしようと考えております。

理由は、そのソフトは『キャリブレーション(補正)』や『CADと現物のズレを補正』などの現場向き機能が多彩な上、多くの顧客で工数削減が実証されているからです。

Q.どういう点でやりがいを感じますか?

FA業界の構造を変えることにやりがいを感じます。弊社はリーマンショックの時、顧客の割合は現在とは違い自動車会社の関連が6~7割でした。その為に、一気に仕事が無くなり、しかもそれが長期間続いた為、地獄のような日々を味わいました。

その時に実感したのが、日本の下請けの『奴隷構造』です。つまり下請けは、発注元から言われたモノを、言われた通りに作るだけなので技術的に成長しません。その為に、主導権は常に発注元が握っており、安価を要求されて従わなければ「じゃあ、他社に注文する」と言われてしまう、という構造です。

私はこのような業界の常識を変えたいと思っております。下請けが、弊社のように『どの会社にも真似ができない』事が出来るようになれば、会社の価値は上がり、顧客に選ばれるのではなく、逆に顧客を選べるようになります。そして下請けの価値が上がる事で、顧客もその恩恵を受けるという、『お互いに成長を続ける』FA業界に変える事にやりがいを感じております。

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参考:富士ロボット
参考:オフィス エフエイ・コム


富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。福井県のロボット導入促進や生産効率化を図る「ふくいロボットテクニカルセンター」顧問。47歳。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。多くの企業にて、自社のソフトで産業用ロボットのティーチング工数を1/10にするなどの生産効率UPや、コンサルタントでも現場の問題を解決してきた実績を持つ、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「無償相談から」の窓口を設けている。