初物処理で量産開始後の品質水準が決まる
量産後の品質水準を決める「初物」の扱いを大切にする、という話です。
量産と同じ生産条件で初物をつくっていますか?
1.品質管理は押さえるべきところを押さえる
品質水準を決めるのは顧客です。
ですから、品質管理のスタートは、顧客が希望する品質水準を明らかにすることです。
そして、確定した品質水準を維持する体制を整備します。
理想的には、品質管理専門部隊を持つことです。
各工程担当のキーパーソンと品質管理を専門とする部隊を連携させます。
モノづくりに追われる現場にとって、品質面でサポートしてくれる部隊はありがたいものです。
ただし、中小現場の経営資源には制約があります。
重要性を理解しつつも、品質分野に経営資源を割くことができない現場は多いです。
ですから、品質管理は押さえるべきところを押さえる、という姿勢で臨みます。
2.品質は必ずしも極めればいいわけではない
生産で求められる3要素はQCD。品質、コスト、納期です。
コストや納期は極めると、付加価値の創出につながる可能性があります。
超短納期を実現させれば、現場の工程指標が改善します。
生産性が高まり、リードタイムの短縮につながるのです。
一方、必ずしも極めればいいわけではないのが品質です。
「過剰品質」という表現があります。
顧客が望む以上の品質を提供してもお金につながりません。
顧客が望んでいなければ、しかたのないことです。
高品質は、顧客が望んでいない限り、コストにしかなりません。
ですから、品質管理は、押さえるべきところを押さえれば十分です。
3.「変化」に着目した仕組みに、工程内検査を加える
不良品の流失を防止するためにどうしますか?検査体制を強化することはありませんか?
生産ラインの最終工程に検査工程を加えるケースが多いです。対応自体に誤りはありません。
しかし、検査コストが上乗せされます。
経営資源に制約があるのならば、その前にやるべきことがあります。
製品開発から生産までの業務フローのなかで「変化」に着目した仕組みを考えるのです。
設計開始時、量産開始時、変更点発生時。
3つの時点で、見える化を実践します。
具体的には、デザインレビューであり、初期流動管理であり、工程変更管理です。
余力がない中、工場の品質管理を強化する具体的な手段です。
「変化」に着目するとは、問題発生を未然に防ぐことにほかなりません。
そこで、「変化」に着目した仕組みに、工程内検査を加えるのです。
「変化」に着目した仕組みが、工程内検査能力を高めます。
4.初物
さて、初期流動管理といっしょに、しっかり対応したいことがあります。
それは「初物」の処理です。「初物」とは、生産ラインに流れる新しい製品のことです。
新製品が流動するとき、ロット生産や連続生産では注意を要します。
従来の仕様と異なる製品が一定数流動し始めるからです。
初期流動管理が開始されると初物生産が行われます。
このとき、2つ視点で初物処理を見る必要があります。
ひとつは現場視点。
従来の量産品と区別して管理しなければなりません。従来品に初物を混入させてはいけません。
各工程では、区別のためのマーキングや別管理をしながら最終工程へ流動させます。
もうひとつは顧客視点。
初物の受け入れ時、受け入れ側の顧客は検査を厳しくするのが一般的です。
初めての製品を受け入れるわけですから当然です。
そうした顧客側の対応を見越して、品質を高める生産条件で初物を生産することがあります。
ただし、それをすると後々苦労します。
この時点で、その後の量産品質の水準が決まるからです。
必要以上に高品質の初物を送り込まないことです。
とはいえ初物をクリアしなければ量産へ移行できません。
顧客の要望を受け入れながら、自社にも有利な品質水準を決める。
そのためには、客先の品質担当者との関係性強化も大事な仕事です。
結局、最終判断は人がします。
自社ラインの品質水準を熟知した上で、しっかり対応したいのが初物処理なのです。
官能的な判断基準を要する品質には要注意です。
検査工程を強化する前にやるべきことがあります。
量産品の品質水準は、初物処理で決まることに注意です。
中小現場の品質管理は、押さえるべきところを押さえて臨みます。
「変化」に着目した仕組みで効率を高めるのです。
経営資源に制約がある中小の現場であるならなおさらです。
変化に着目した品質管理体制のしくみをつくりませんか?
まとめ。
品質管理では検査工程を強化する前にやるべきことがある。
量産後の品質水準を決める「初物」の扱いを大切にする。
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