トヨタの凋落|元トヨタマンの目
このブログにも、「偉そうなことばかり言って、今のトヨタの状態はなんだ」というような吐き捨てるような意見が寄せられる。
豊田喜一郎氏と大野耐一氏とで完成された「トヨタ生産方式」自体に問題があったわけではない。
70年間それを運用してきた中で、トヨタ自体が巨大化し、大企業病で壊疽してきたのだ。
工場で仕事をしていても、御本社から、トヨタ式をよくご存じなく、位(くらい)と給料だけは高いエライ人達がトンチンカンなことを言ってくる場合が多くあった。
しかし私のいた田原工場のエンジン製造部は現場作業者、製造技術員、品質技術員、生産管理担当者ともに完璧だった。
トヨタ生産方式のすべてが凝縮された工場に、優秀な人達が的確に行動していて素晴らしかった。
当時はアメリカの最も権威のある品質チェック会社であるJDパワー社の評価では常に1番だった。
工場で実際に働いていた私の実感としても、当然の結果だった。
だから今の凋落が信じられない。
私がいたころは、「基準」なるものは常に変更されるものだった。
常に改善しているのだから当たり前だ。
それが、グローバル・スタンダードなるカッコイイ言葉のもとに変質してきた。
「基準」なんかいろいろ変えたりすると金がかかる、というような稚拙な発想からだ。
たとえば、工場としては、こちらの方向に製品出口をつけたいのに、「グローバル・スタンダードではそちらの方向へ出す基準の機械は採用していません」などと生産技術部が言ってくる、といった感じだ。
そんことを言っていたら、目のない少人化などできなくなってしまう。
やはり「大組織は自壊する」といったことを実証している。