標準作業の3要素|元トヨタマンの目
1.サイクルタイム(サイクルタイム=日当稼動時間÷日当り必要数)
すべての部品がそのサイクルタイムで後工程に引かれていくため、日当り必要数さえ分かれば、それをいつ仕掛けなければならないかが、現場の誰にでも分かる(進行係がいらない)。
このことをトヨタでは「平準化仕掛け」をするという。
いわゆる、全種類をバラバラにして流すということだ。
すべての部品がそのサイクルタイムで後工程に引かれていくとなると、すべての前工程では段取改善を進めないと在庫が非常に多くなってしまう。
究極はゼロ段取である。
ラインオフする車と同じタイミングで作れれば、前工程の仕掛り在庫はゼロとなる。
この「平準化仕掛け」により、すべての部品のサイクルタイムが決まるということは、サイクリックな作業を繰り返すことが可能になるということだ。
これにより、初めて作業の標準化が可能になる。
もしロット生産などをしていたら、いろいろな違った作業が次から次へと襲いかかってきて、作業の標準化などまったくできないだろう。
それでも、もしそのような現場が標準作業票を作ったとしたら、膨大な数の標準作業票になってしまうだろう。
2.作業順序
この通りやらないと、加工忘れや取り付け間違いが発生し、品質や安全が確保できない。
3.標準手持ち
作業をしていくために、最低必要な工程内の仕掛品。
言い換えると、標準作業で認められた工程内にある仕掛品(手持ち品)。
したがって、トヨタ工場内には標準作業の網のかかっていない仕掛品はないということであり、いわゆる「在庫」なるものは1つもないことになる。
このようになれば、管理監督者や工場幹部が現場を巡回していて、標準作業票に書いてある標準手持ち以外の部品がそこらにおいてあったら、即それは『違法』の在庫品であることが分かる。
そしてすぐそこの組長か班長を呼んで撤去命令を出すことができる。
大野耐一氏やその部下の連中に見つかると本当に捨てさせられたそうだ。
しかしこれはトヨタのように体制やルールが徹底された上での行為である。
それを経験しているトヨタOBで、一般の会社へ行ってもこれをやった人がいたという。
そんなことしたら反感を買うだけだ。
その企業のレベルに合せて考えて行動してほしいものだ。