すれ違いの議論の撲滅対策|元トヨタマンの目

すれ違いの議論の撲滅対策|元トヨタマンの目

「新しい仕事を外注に出す」
という問題が発生して課長会議が召集された。

事務局「F工業にこの仕事を出したいのですが?」

A課長「それは良い考えだ。F工業にすればいいよ」

するとすかさず、

B課長「イヤ、私は反対だ。F工業はダメだよ」

と強行に主張する。

 

結局、会議は賛成と反対の二派に分かれて、なかなか結論が出ない。

たまりかねて、

事務局「ところでA課長、F工業を推薦される理由はなんですか?」

A課長「私は以前、F工業に仕事を頼んだことがありますが、なかなか品質は優秀でしたよ」

今まで反対していたB課長が、

B課長「アア、そうそう、F工業は『品質』はなかなか優秀だヨ」

事務局「それではなぜ反対なのですか?」

B課長「F工業は『納期管理』があまり良くないので反対なのです」

今度はA課長も、

A課長「うん、そういう傾向はあるな」

とB課長の説に同調してしまったのだ。

 

要するに両課長とも

「F工業は良いか、悪いか」

を判定する基準になる考え方、すなわち「区分原理」が違ったままで、それぞれ

「F工業は良い、いや悪い」

と主張しあったのだ。

このような場合は、

①善悪を判定する基準になる考え方、すなわち「区分原理」はどんなものがあるか列挙する

②各項目のもつ重要度を投票によって決める

③各項目に対する評価点数を各課長に提出させる

そして

「重要度係数×評価点数」によって決定するようにすればいい。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。