中国企業で面食らったこと|元トヨタマンの目
「青木さんちょっと会議に来てください」
行って見ると、副社長も参加している幹部会議だ。
そこには新たに現場に掲示する「置場表示」のサンプルがプロジェクターで映し出されていた。
置場表示の案について副社長の決裁を受けているのだ。
(ちょっと待ってよ。置場表示なんて現場が考えて作って掲示してみて、もし調子悪かったらまた変えればいいじゃん。なんで案の段階でトップの決裁なんか受けるのか。聞かれるトップも大変だろう)
中国はこのように何でも上位下達らしい。
これではまるで、戦争で最前線の部隊長から本部へ無線で「どうも右前方に敵が迂回した模様です。発砲してもよろしいでしょうか?」といちいち聞いているようなものだ。
またこんなこともあった。
トップの指示が「溶接工程でかんばん方式を完成させ、他のラインに横展せよ」というものだったらしい。
「最終工程の仕掛け順序から平準化させなければ、その前工程である溶接ラインなんかどうしようもないよ。ここだけでかんばんなんか回転するわけない。でも表示としての意味はあるからつくってみて欲しい」とアドバイスした。
しかし溶接工程ではどうしてもトヨタ式のかんばんを完成させたいという。
トップの指示は「絶対」のようだ。
今後も懇切丁寧にトヨタ式の基本の基本を何度も説明しながら進めるしかない。
しかしながらコンサルティングとは実に骨が折れるものだ。