「ムダ」を楽と楽しさに変える楽々改善:どんな在庫が必要ですか?
誰にも聞けない「在庫削減」 現場改善コーチが伝授します
どんな在庫が必要ですか?
在庫には、材料在庫、仕掛在庫、製品在庫があり、どれも必要な在庫です。
重要なのは、それらの持ち方です。
在庫があるのではなく、「在庫を持つ」ことが求められます。
まず、材料在庫ですが、材料を供給してくれる会社の供給能力で決まります。
例えば、毎日、供給してくれるのであれば、1日分と若干の予備で大丈夫です。
もし、半導体のように、材料納期が3ヶ月だったら、少なくとも3ヶ月分は必要です。
納期が長い場合、不安が発生するので、ひょっとしたら、2倍の半年分を持っているかも知れません。
半導体は、価格も高いので、大きな負担になってしまいます。
理想的なのは、1ヶ月程度を発注し、毎日、分割納入してくれることです。
毎日納入が難しければ、1週間に2回、または、週次納入してくれると、かなり材料在庫を少なくできます。
材料メーカーも、1ヶ月分をまとめて生産できないので、分割納入の方が生産は楽になるケースが多いのです。
問題なのは物流です。
その材料だけの便を出していたら、運送費が高くつきます。
他の材料と共同配送できれば、コストダウンが可能です。
仕掛在庫は、製造現場の考え方や生産能力で変動します。
機械で生産している工場を見ていると、あまり、工場内の運搬を考えていないのを見かけます。
1日1回、または、1勤務に1回の運搬しかない場合です。
運悪く1日1回しかない運搬に乗り遅れたら、翌日まで待たされるのです。
工場の現場の人と話していたら、「1工程1日なので分かりやすい」とよく聞くのです。
分かりやすいかもしれませんが、工場の中は仕掛品だらけになってしまいます。
理想を言えば、1時間に1回は運搬して欲しいものです。
そのためには、レイアウト変更が必要な場合もあると思います。
レイアウト変更が出来るまでは、2~4時間に1回の運搬を目標にして欲しいです。
しかし、機械を使って生産する場合の問題は、段取替えと機械のトラブルです。
仕掛在庫が多くあれば、この問題はあまり見えなかったでしょう。
しかし、仕掛在庫を少なくすると、問題として出てくるはずです。
場合によっては「仕掛在庫が少なすぎるためにラインが停まる」という問題点になります。
これは、本末転倒なのです。
段取替えの時間が長い、機械トラブルが多いという問題なのに、在庫のせいにしているだけなのです。
これでは、永久に本来の問題点が解決できません。
すぐには改善できませんが、理想の姿をしっかり見つめて欲しいものです。
その上で、どれだけの在庫量が適切なのかを考えるのが良いのです。
製品在庫は次の章で考えていきます。
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