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47.5Mp 高解像度&高速グローバルシャッタCMOSイメージセンサ「CMV50000」

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▲ams アプリケーションエンジニア Pieterjan Daelemans

はじめに

今日、マシンビジョンの世界ではグローバルシャッタCMOSイメージセンサが浸透しています。このセンサはCCDセンサやローリングシャッタセンサと同等の光学性能を持ちながら、その他多くのメリットを持ち合わせています。

そのため、現代の低解像度センサ市場においては、CCDセンサおよびローリングシャッタセンサの大半がグローバルシャッタCMOSイメージセンサに置き換わっています。超高解像度の場合はまだCCDが主流ですが、ここでもCMOS需要の伸びがみられます。

結果としてカメラの設計と運用をできる限りシンプルに留め、グローバルシャッタを導入してフレームレートを向上させようという傾向が高まっています。

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▲「CMV50000」正面図

フル解像度で最大30fps の稼働が可能

現行のams CMV製品シリーズは、特許取得済の相関2重サンプリング(CDS)搭載8Tピクセル設計とパイプライングローバルシャッタを使用し、VGAから最大20Mpまで多様な解像度をサポートしています。

また直近、この製品シリーズに新型の「CMV50000」が加わりました。

「CMV50000」は35mmの光学フォーマット(36.43 × 27.62mm)にて、フル解像度で最大30fps の稼働が可能な47.5Mpのイメージセンサです。この製品では旧CMV製品シリーズに搭載の既存技術をベースに、パフォーマンスと機能性をより向上させました。

 

「CMV50000」は4.6µm 8Tのパイプライングローバルシャッタと本格的なCDSを用いた、7920 × 6004のピクセルアレイを搭載。ピクセルサイズが小さい場合でも、より良いパフォーマンスを体感できます。

このセンサは12b ADC装備でノイズレベルを最低水準に抑えながらも(8.8e)、直線性の高いフルウェルキャパシティ(FWC, 14500e)により、64dBという広いダイナミックレンジを実現しています。

低い暗電流(60℃で66e/s)とチップ上のオプティカルブラッククランプの効果により、冷却なしでも数秒間の長い露光時間を維持することができます。

 

またセンサ内でチップ上のrow補正が可能であるため、センサから直接鮮明な画像を取得することができます。またビニング機能によりFWCを58keまで拡大、SNRを倍増させ、明るく見やすい詳細な画像処理を実現します。

「CMV50000」はインターリーブ露光HDRモードを備えており、最大10の対象領域(ROI)に対応、チップ上の高精度温度センサ、複数のトリガーモード、最大4倍のアナログゲインなど全ての機能をシンプルなSPIレジスタで制御可能です。

これは全て30fpsのフル解像度に対応しており、より小型のウィンドウであればさらに迅速な動作が期待できます。35mmの光学フォーマットにより、標準のカメラレンズを採用しながらもよりシンプルなシステム設計が可能となります。

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▲「CMV50000ダイアグラム」

アプリケーション

高解像度、スピードとパフォーマンスの全てを兼ね備えた「CMV50000」は、ハイエンドなマシンビジョン、フラットパネルディスプレイ(FPD)検査、セキュリティ、空撮、ITSなど様々なアプリケーションにご利用いただけます。

ハイエンドマシンビジョン

「CMV50000」は高解像度、グローバルシャッタ、高速フレームレート搭載で、ハイエンドなマシンビジョンアプリケーションでの利用に最適です。非常に高い解像度をサポートしているため、全体の検査領域を拡大させる、もしくは必要に応じてズームインして詳細を確認することが可能です。

「ams 4Mp CMV4000センサ」と比較すると、「CMV50000」は領域または詳細のいずれかで約12倍のゲインを取得できます。

低ノイズかつ4倍のアナログゲインというメリットもあり、照明が暗い場所でも細かな部分を確認することができます。また35mmの光学フォーマットにより、標準的なカメラレンズでも銃分な動作が期待できます。

FPD検査

フラットパネルディスプレイ検査は新しいトレンドと技術の応用により自動化が進んでいる分野です。まだ新しい分野ではありますが、「CMV50000」のような高性能イメージセンサの適用可能性は多いに広がると予想されています。

TVディスプレイの物理サイズだけでなく、スマートフォンやその他デバイスの画面も次第に大型化しており、解像度(4K / 8K UHDなど)およびピクセル密度の向上トレンドも、高解像度検査システムの需要を急速に高める要因となっています。

大型ディスプレイに加えて、マイクロディスプレイに装備されるデバイス数(スマートウォッチ、ARメガネ、IoTなど)も飛躍的に成長しています。これらの小型ディスプレイはエンドユーザーと密接に連携するものであるため、不具合が許されないという厳しい一面もあります。

 

サイズ、解像度、デバイス数の拡大が進む中、新技術(OLED、量子ドット、ミニLEDなど)が次々と現れ、検査システムにもより高いパフォーマンスが求められるようになっています。

このセンサは47.5Mpという高い解像度で、より大型かつ高解像度のディスプレイ検査や、複数の小型ディスプレイのテストを一度に実施することができ、全体のテスト時間短縮に貢献します。

ユーザーは8Kフルディスプレイの光均一性を1:1のサンプリングでテストすることができます。また4K/2Kのフルディスプレイであればそれぞれ4:1または16:1のオーバーサンプリング比で個々のディスプレイ画素を検査可能です。

同解像度のその他イメージセンサと比較しても、「CMV50000」は30fpsの高フレームレートを誇り、テスト時間を短縮したい場合に最適です。低解像度光学カメラを複数用いるケースも、今では高解像度のもの1台に置き換えることでシステムコストを削減できます。

 

低ノイズで高いダイナミックレンジ、高SNRを兼ね備えたセンサは、ドット落ちでコントラストが低下した、明るさが均等でないなど、ディスプレイの光の不均一性(むら)のテストに最適です。また、OLED画素輝度テストなど、画素間での光のバリエーションの差を見る場合の検査にも有効です。

暗電流とブラッククランプによりクリアな画質と長時間の露光が実現できるほか、4倍のアナログゲインでディスプレイから発されるかすかな光もキャッチすることができます。

また「CMV50000」に搭載のビニング機能でSNRを2倍にすることで、明るい可視画像のバリエーションが増えるというメリットもあります。

空撮画像

「CMV50000」は空撮画像アプリケーションとの利用にも効果的です。35mmのフォーマットと47.5Mpの高解像度により、ドローン(無人機)のより高い高度でのGSD(地上サンプル距離)に貢献します。

ドローンにローリングシャッタセンサを使用すると、画像のキャプチャ時にいわゆる「ゼリー現象」が発生する場合があります。これは、露光中にシャッタの位置が移動してしまうために起きる現象で、この時イメージセンサが動くと画像にブレが出てしまいます。

画像のブレにより精度にも影響が生じ、後にキャンセルして補正するための演算(または機械シャッタの実装)が必要となることもあります。「CMV50000」のようなグローバルシャッタを採用することで、全画素について正確なタイミングで同時に露光を開始・停止できるためこのような問題を解決できます。そのため、ドローンのスピードや動きを大きく制限されることなく、ブレのない画像を撮影することができます。

 

30fpsをフルで要さず、電力、帯域、ストレージ、カメラの複雑さをセーブしたい場合は、簡単にフレームレートをスケールダウンさせることができます。

センサの動作温度範囲はマイナス40℃〜70℃までと広いため、極限環境での空撮となる場合も安心です。

映像/放送

「CMV50000」はモノクロとRGBの双方に対応しています。35mmのフルフォーマットと高解像度(> 8K UHD)は、映像・放送アプリケーションに最適です。センサは8K解像度(7680 ×4320)で最大40fpsまで動作します。

高解像度センサによる4K(またはHD)スケールによる画質向上や、クリアな4K/HD画像を維持しながら4K/HDクロップによる「ライブ感」ある画像領域のアウトプット(デジタルズーム)も可能です。

また低ノイズ、高ダイナミックレンジ、チップ上補正機能搭載で、高品質の画像をセンサから直接取得できるのもメリットのひとつです。グローバルシャッタなら高速の動作もブレなしでキャプチャすることが可能です。

評価キット

amsでは「CMV50000」用の評価キット(EVK)もご用意しています。EVKは高速のオンボードメモリを搭載しており、画像をフルフレームレート、フル解像度でキャプチャ&保存することができます。

原画像は、PCに転送して後にチェックすることも可能です。EVKはUSB 3.0接続を採用しており、USB3Vision標準に準拠しています。

使いやすいソフトウェア(NI MAXベース)搭載で、イメージセンサの全体評価を行う場合は簡単にテストシステムと統合できます。

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▲「CMV50000 EVKセンサ」基板

次世代に向けた取り組み

近年は高解像度の追求に加えて、より小型かつ軽量のカメラの需要も増加の一途を辿っています。これを実現するには、画素サイズを低減するしか方法がありません。

画素サイズが小さければパフォーマンスも落ちると思われますが、amsでは高いパフォーマンスを維持したまま画素サイズをシュリンクする技術を研究しています。これにより、高パフォーマンスと高解像度を兼ね備えた小型・軽量カメラの誕生が期待できます。

成功すれば、高額な大型光学機器を導入し、狭いスペースに設置するといった従来方式に革命を起こすことができるでしょう。

参考:ams


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。