産業用ロボットを導入する企業 レーザックス
レーザックス(愛知県知立市新林町小深田7、近藤恭司代表取締役社長)は、「レーザ機器やその周辺機器の製造」「レーザでの加工(試作)」を行っています。レーザ周辺機器のほとんどが海外メーカーで、日本の企業からするとサポート物足りなさや部品を取り寄せるのに時間がかかるなどの問題がありました。同社は「OPTICEL」という『国産』ブランドを持っています。『現場のニーズ』から生まれたブランドなので、『お客様対応の早さ』や『カスタマイズ』もできる注目の会社です。
また、製造だけでなくレーザ加工の『試作』をお客様から多く受注しています。今までは主にNC加工機を使用して行っていましたが、なぜ産業用ロボットを導入したのか、その契機などを聞きました。
Q.産業用ロボット導入の契機は?
航空機の部品に3次元的に穴を空ける仕事が多々あるのですが、その為に専用のNC加工機を購入すると、2億円くらいします。よって、安価で3次元的な加工ができるロボットシステムの開発が必要となりました。それを研究する事を愛知県に申請し、補助金を活用し、導入する事にしました。
また一昔前は主流であったYAGレーザでは光軸がズレたり、装置全体を小さくまとめる事が出来ませんでしたが、近年のファイバーレーザでは光ファイバーを用いて伝送できるので、取り回しが良くなり、ロボットの先端に取り付けやすくなりました。
ロボットの先端に付ける「レーザヘッドとブラケット」は当社で製造でき、その重量を海外製の約半分の1〜5kgに抑える事ができるので、可搬重量の小さいロボットにも取り付ける事ができるようになりました。
Q.導入して良かった点は?
レーザ加工には様々な分野があり、「溶接」「切断」「穴あけ」「焼き入れ」「肉盛り」などがありますが、どの分野でどれだけの精度や質で加工ができるかをすみわけできるようになりました。おかげで、レーザ加工できる仕事の幅を増やすことができました。
NC加工機と比べて安価な3次元加工のロボットシステムをお客様にご提案できるようになりました。
Q.導入後に苦労した点は?
NC加工機と産業用ロボットそれぞれで加工した場合、ワークの種類などで比較的近い加工が出来るものと、まったく精度が異なる場合があるので、その『比較値』をデータ化する事に時間がかかります。例えば、ロボットの姿勢による精度の差などです。
社員にもっとロボット慣れてほしくても、今までロボットに携わってこなかった社員が前向きにロボットと向き合ってくれるのに時間がかかります。
Q.SIの助けを借りずに自社でロボットシステムを構築した理由は?
確かにSIの助けを借りずに自社でロボットシステムを構築するには、時間とお金をかけてロボットの学習が必要です。しかし、レーザ加工の『試作』をお客様から多く受注する立場上、ロボットに対するノウハウを付けておかないと、新しい加工を行う度にSIに頼む必要が発生してします。また、何か問題が起きた時に直ぐに自社で対応できるスピードもお客様の為に必要と判断しました。
もともと会社にシステム構築の為に最低限必要な『電気的』『機械的』な知識が備っていました。よって、あと必要なのはロボットに関する知識だけでしたので、自社で出来ると判断しました。
Q.NC加工機と違いロボットではティーチングが大変だと思いますが?
確かにマシニングセンタであればCAD/CAMで簡単にプログラムを作成できます。ロボットでも簡単にティーチングできるものを探していたところ、知り合いからティーチングソフトを販売・サポートをしている富士ロボット㈱を紹介してもらいオフラインティーチングソフト『RobotWorks』を導入しました。「安い」「早い」「現場向き(うまい)」の3拍子がそろって牛丼みたいで、さらにサポートが良い。だから多品種の弊社にとってとても助かっています。