【Dの問題】ロスは予防すること
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6.7 ロスは予防すること
納期対応が難しく、在庫も重荷になっていて、早急に生産管理改革を進めたい。
そのような要望があって現場に入り込むと、なるほど標準化もデータベースも不十分で、導入されているシステムもほとんど活用できていない。ところが、旧来のやり方で日々の管理業務はなんとかこなしているし、そんなに深刻な問題があるようには見えない。
おかしいなあと思っていたら、実は慢性的な不良発生や頻繁に起きる機械故障が余計なロスタイムとなってリードタイムを長引かせているのでした。
その結果、生産管理改革で始まったプロジェクトのテーマが途中から品質改善になって大混乱。
そんなことがよくあります。
改善の目的が見えていないと、今までと異なる局面に入った途端にやるべきことがわからなくなって、日常業務の中に埋没してしまう。
それ以降何の進展もなく、だんだん改善活動そのものが胡散臭いものに見えてくる。こうして一番まずいパターンに入っていくわけです。
生産管理の問題を突き詰めていって、品質改善や故障の話になるのは最初から読んで来た人ならわかるでしょう。
せっかくシステムを整備し、作業効率を高め、段取時間を削減できても、つまらない不良発生や機械故障によって納期遅れになってしまってはたまりません。
そこで、こうしたロスについて、どのように解決するかという話になります。
この問題解決の考え方・進め方については「品質でもうけなさい」でまとめましたので、そちらを参照してください。
ここで触れておきたいのは、管理ということです。
この管理。どういう意味か知ってるかい? って聞いてみると、たまに「必要のないこと」と答える人に会います。
どうしてそう思うのかと尋ねてみると、改善手法の講習会でそう教わったと言うのです。
これは間違いではありません。問題解決をせず単に管理を強化するのはムダです。
つまり、余計な管理の必要がないように学んだ手法を使って改善しなさいというわけです。
しかし、管理はすべてムダかというと、そうとは言えません。問題を解決した後も、それが再発しないように歯止めをする必要があります。
正常な状態が、品質工学で言うロバスト(頑健)に維持されるのであれば良いのですが、さもなければ、しっかりと管理をしなければいけません。
2.2でお話ししたように、管理とは……
目の前の工程がどんなに良好な状態にあっても、いつ異常が現れるかわかりません。
問題が発生してしまったら、もう欠品や納期遅れは避けられません。
事前にそれを察知して、ロスにならないように予防措置をとることが管理なのです。
例えば、管理図はこのような管理のツールとして大変便利で効果的なものですが、問題ないから意味がないと思っているのか、それとも作るのが面倒なのか、QCの他の手法に比べると、あまり活用されている例を見ません。
また、機械の予防保全を行うためにMTBF(平均故障期間)やアベイラビリティ(availability:可動率)といった指標を把握しておけば、定期点検やメインテナンスのサイクルを設定できます。
さらに機械の信頼性を高めるための改善指標にもなります。
今、問題が進行中ならまず解決してロスをなくすことが最優先です。
しかし、問題がないからといって放置しておくのではなく、予防のための管理サークルを回すことが大切なのです。