大きな工数は日常管理へ埋没させよう|元トヨタマンの目
私は本社工場の日程課(生産管理室の旧名)の担当者時代、期末たな卸し改善に命をかけていた。
期末たな卸しは本決算と中間決算の年2回ある。
生産ラインの横には部品棚がびっしり配置されている。そして全ての部品の棚における位置が決められており、それぞれに置場表示を現場が手書きで書いて貼っていた。
ラインスピードが月単位で変更になるため、部品の位置の変更は日常茶飯事にある。
しかし、年2回の期末たな卸しの時点には、全ての部品の置場位置を電算機の中の部品手配システムのデータと一致させる必要があった。
なぜなら、期末たな卸し時には、各作業者が分担して全ての品番の在庫数を実際に勘定しなければならないが、部品の品番とそれがどこの置場位置なのかが明確になっていないと、各作業者がリストに品番の書いてある部品を見つけることが難しくなってしまうためだ。
たな卸し前になると、日程課が全ての部品置場リストをアウトプットし現場に渡す。現場は実際の置場がリストにある置場と違う場合は、手書きでリストを修正する。
そのリストを再び日程課が受け取り、全員で手分けをして部品手配システムのデータ修正のインプットを行う。
これがリードタイムが少なく、大変な作業だった。
ところでこの部品手配システムはそのデータから自動的にかんばんを作成することができる。
置場位置のデータもかんばんに表示されてアウトプットされてくる。
現場はその置場位置の表示が実際と異なっている時は、正しい置場を短冊に手書きしてかんばんの中に入れ込んでいた。置場を現場で変えても、いちいち日程課へ連絡してデータまで修正させることが面倒だったためだ。
そこで私は、このアウトプットされるかんばんをそれぞれの部品の置場表示に使えないかと考えた。しかしかんばんの横のサイズは問題ないが、縦のサイズが大きすぎる。
そこで考えたのは、「縦のサイズの1/3ぐらいはバーコードが占めているので、置場表示にはそこは必要ないので、その部分が隠れるように折ってしまえばいいのではないか」ということだった。
そしてそのケースもかんばんケースの縦方向をパウチで切り取ってしまえばいいと考えた。
こうすれば、現場は手書きで置場表示を書いていたので、置場が変わった場合、すみやかに日程課へ新しい置場を連絡してかんばんをアウトプットしてもらえば、それをそのまま置場表示に使えるし、本来のかんばんとして使うものの表示を短冊で変える手間もなくなる。
この効果をまとめてみる。
現場が置場表示が欲しいために、日程課に変更された置場情報をその都度持ち込むようになることで次のような効果が出た。
①本来のかんばんとして使うものの置場表示を手書きで変えなくてもよくなった
(従来でもこれはできたが、これだけだと現場にうまみが少なく手書きの方が早いということになってしまっていた)
②置場表示を手書きする工数がいらなくなった
(電算文字に変わり見やすくなった)
③年2回の期末たな卸し前のデータ修正業務が日常管理化されてなくなってしまった
この改善は会社にも大変評価され表彰されてしまった。
このように固まって発生する事項を日常管理の中へいれてしまうということは非常に重要なことだ。
ここで話を変えたい。
日本ではほとんどの家庭で年末に大掃除が行われる。
ただでさえ年末はいろいろあって忙しいのに、なんであえてこの忙しい年末に大掃除をぶつけるのか。
まず日常的に常にきれいにしておけば大掃除なんてしなくてもよいはずだ。もしそれができないなら、12月末ではなく11月末ぐらいに前出ししておくべきではないだろうか。
むりやり年末に大掃除をやって自ら忙しくして、年末ムードを盛り上げているとしか思えない。
などと偉そうなことを言いながら、「あしたは大晦日、そろそろ大掃除をやらねば」と思いながらブログを書いている自分がいやになる。