中国生産委託、日本人駐在員は必要か? アンケート結果
以前に生産委託先工場で生産されている自社製品の品質がよくないという事例を紹介した。
技術・品質指導などは出張ベースで対応している。1年前に比べてよくはなってきているが、まだまだ満足できるレベルではない。特に誰も現地に出張していないときの生産品に不良が多い。
この問題に関連してメルマガでは生産委託先に常駐者は必要かというアンケートを実施しました。今回は、その結果を発表します。
☆中国の生産委託先工場の品質を確保するには、自社日本人駐在員(常駐者)が必要か?(自社工場まで範囲を広げて考えていただいても結構です)
◆必要ない。委託先の責任だ 14票(30%)
◆出張指導してダメなら常駐してもダメだ 4票( 9%)
◆日本人の常駐は絶対必要だ 14票(30%)
◆委託先のレベルによるが駐在員はいた方がよい 11票(24%)
◆わたしの考えはこうだ(コメント付き) 3票( 7%)
アンケートは駐在員が必要と考える方が約60%(コメント分を含みます)、必要ないという方が約40%という結果となりました。
委託先の責任であるので必要ないという方が30%でした。これは生産委託先のレベルと生産委託度合いによる部分が影響していると思います。
興味深かったのは、出張指導してダメなら常駐してもダメという方が10%弱いたことです。この方々はその委託先で大変な思いをしたのではないでしょうか。
今日のポイント
読者の方からコメントをいただいています。今回はお二人からいただいていますので、ご紹介します。最初にyonoshibuさんのコメントです。
『初期段階、最低合格水準に至ってから1年間位は必要』
コンパクトにまとめてくれました。ポイントは最低合格水準になった後、さらに1年間は駐在が必要とされている点です。
次にZhenさんのコメントです。
『駐在して指導すれば、調達部品の品質が向上するのは火を見るより明らか。質問者が悩むのは、駐在の費用対効果の問題か、駐在者の人材の問題かと思います。
費用対効果に関して私の経験では、出張ベースでできるのは対処療法的な品質改善です、つまり出張ベースでは永遠に行きつづけないと一定レベルの品質を維持できないと思います(段々良くなっても、ある時突然後戻りする)。それを考えると、一定期間駐在し根本的な品質改善を実施することが、長い目では経済的です。但し数値の保証もなく、長い目でなど通用しないのが現実かもしれません』
Zhenさんも駐在員は必須との立場からのコメントです。駐在員を置くには当然それなりの費用がかかります。Zhenさんはこの点(費用対効果)についてコメントしてくれました。
いつも舌足らずのわたしの質問をフォローしていただくコメントに感謝です。費用対効果は当然見ていかなくてはならないが、単に駐在員の費用とそこで減る不良を見比べれば済む話ではない。
不良が顧客や市場に出たときの実際の損害だけでなく、信用を失うことまで評価の対象としなければならない。駐在員を置くか置かないかの判断は経営トップがすることであろうが、この信用失墜の影響を甘く捉えている経営者が多いのではないだろうか。
工程内不良の損失は工場原価(材料費、人件費、管理費)の損失で済むが、顧客に不良がいってしまった場合は工場原価の3倍の損失となり、さらに市場クレームとなると信用失墜コストは3のn乗倍といわれている。これを頭のすみに置いておいて欲しいものだ。
補足
委託先の責任において品質を保証してもらうのが一番よいのですが、そういった委託先を見つけることも重要なポイントですね。
委託先にも得意分野があるはずなので、できれば自社製品が得意分野に入るところにやらせたいものだ。