月の地図を作成するイメージセンサ
火星や木星などの惑星探査ミッションに対する興味が最近高まっていることを考えると、人類が地球以外に降り立った場所が月面だけであることを簡単に忘れがちです。
人類が月に最後の足跡を残してから約45年経った今、地球の最も近い隣人である月に将来再び降り立つという願いの下、月に関する研究は続けられています。
月に再び降り立つならば、着陸地点の候補地を選び、宇宙飛行士が利用できる水や鉱物などの資源を発見するために、月面の詳細な地図を手に入れることが重要です。
この目標の下、ルナー・リコネイサンス・オービターは、月の地形と放射線の環境の理解を深めるとともに潜在的な氷堆積物を探査するために7台の科学機器を月の表面に向けて、2009年から月を周回し続けています。
科学機器の1つであるルナー・リコネイサンス・オービター・カメラ(LROC)は、オン・セミコンダクターのイメージセンサKLI-5101とKAI-1001を使用して、ピクセルあたり最大0.5メートルの解像度で(地球を周回する商用衛星の解像度と同程度)画像を捕捉し、さらに鉱物の分光的特徴を特定するために7色のカラーバンドを用いて100メートルの解像度で「広角度」画像も捕捉します。
LROCは、7年間に亘る運用で、既に月の約800万枚の画像を捕捉し、230TBを超える生データを分析のために地球へ送信しています。
合計すると、LROはその他すべての惑星ミッションと同じ量のデータを収集しており、かつて不可能であった月の詳細な姿を研究者へ示しています。
その中には本当に目を見張るものがあります。
月の表面の詳細な地図が必要ですか? 月の表側も裏側も高解像度で入手できます。
月面への隕石の衝突跡を見たり、クレーターを間近で眺める「遊覧飛行」に参加してはいかがでしょうか? 問題ありません。すぐそこにあります。
しかし、最も息をのむ画像は、45年前にアポロの着陸地点の近くに残された科学機器と足跡の画像かもしれません。
たとえば、アポロ17号のミッションのユージン・サーナン船長と月面着陸船パイロットのハリソン・シュミットは、1972年12月に最後に降り立ちました。今でも、そこに残された姿をそのまますべて見ることができるのです。
ルナー・リコネイサンス・オービターの画像をもっと見たい場合、最初に訪れるべきは、オービターの全画像が保管されているアリゾナ州立大学(カメラのプロジェクトチームの本拠地)のミッション・ウェブサイトです。
ワシントンDCであれば、スミソニアン国立航空宇宙博物館を訪れ、LROCにより捕捉された選り抜きの画像を集めた新月の出の展示を見ることができます。
現時点では、いつになるかはまだ不明です。
しかし、私たちが次に月に行った暁には、オン・セミコンダクターのイメージセンサを使用してLROCにより捕捉された画像が道案内をしてくれるでしょう。
出典:『月の地図を作成するイメージセンサ』オン・セミコンダクター