より優れたモータドライバと、省エネ設計の経済性

より優れたモータドライバと、省エネ設計の経済性

私たちが使用する機器が発生する騒音に関する懸念は、新しい課題ではありません。

世界保健機構は、コミュニティの騒音を文明の黎明期にまで遡る環境問題として認識しています。

過度な騒音は、英国議会が1960年騒音軽減法を可決して以来、英国において法律的に厄介な課題となっています。

 

百貨店のジョン・ルイスは、最近、英国の消費者の49%が家電機器を購入する際に騒音を重要な要因であると考えていることを発見しました。

多くの有名ブランドは、このメッセージを受け入れ、騒音防止協会のQuiet Markエコ設計賞を授与された新製品を既に販売しています。

Quiet Markは、メーカーから提出された製品をテストし、静音に関するメーカーの主張に合致する製品に対して紫のQラベルを認めています。

 

Quiet Mark を意味する紫のQが貼られた大手ブランドの製品を店舗で目にする機会が増えるかもしれません。

Qは、Quiet(静かな)を意味し、消費財メーカーが店舗の棚で自社製品を目立たせる1つの方法です。

最新の最も静かな技術を手に入れるために喜んで追加料金を支払う消費者が居るであろうことには疑いようがありません。

 

それでもメーカーは、新製品の設計、再設計、および部品の費用に関して注意する必要があります。

これは、家電製品だけでなく、事務機器および産業機器を含めた、すべての市場でいえることです。

より静かな家、より静かなオフィス、より静かな工場、つまり、より静かな生活です。これは魅力ある将来像ですが、コストはどうでしょうか?

 

プリンタ、スキャナ、ミシン、POS端末、工業用ドライブ等々、家庭および職場で使用されている多くの種類の装置は、低コストを実現するためにステッパモータを採用しています。

このモータは、比較的制御が簡単です。これは、ブラシレス直流(BLDC)モータで必要な複雑なベクトル制御アルゴリズムを、プロセッサやマイクロコントローラなしに実行できるからです。

課題となるのは、モータの高速化と騒音の増加との兼ね合いです。

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現在まで、紫のQを勝ち取る、あるいは単に競合会社と差別化できるより静かな産業機器を生産する唯一の方法は、ステッパモータを止めて、BLDCなどの代替方法を使用することでした。

これには多くの余分なコストがかかります。

コントローラが高価になるだけでなく、機器の再設計、関連するテストのための再提出、新しいマニュアルの作成、そして信頼性データの収集などのコストがかかります。

 

ステッパモータの制御に対するオン・セミコンダクターの新戦略により、回路の設計をわずかに変更するだけで、効率性をはるかに向上させ、よりスムーズで、より静かで、BLDCのような動作を可能にします。

そのカギは、従来の負荷変動に関わらず、固定電流で駆動するステッパの制御方法に置き換わる駆動方法で、モータの負荷変動に応じ、脱調しない範囲内で自動的に、かつダイナミックに駆動電流を可変する新しい駆動制御方法にあります。

これらイノベーションはオン・セミコンダクターの高効率ステッパモータ・コントローラであるLC898240が従来のステッパモータ・ドライブと併用されており、これが、ステッパモータコンパニオンICとして使用されることにより、従来のモータドライバ部のボードの再設計を最小限に抑えます。

 

LC898240は、モータ巻線に接続されて負荷状態を感知し、ドライバ電流を調整するための信号を生成します。

ステップパルス出力および電流設定出力は、従来のステッパモータ・ドライバにおいて、それぞれSTEPおよびVREFピンに接続されます。

 

また、LC898240は、必要に応じてマイクロコントローラと併用することもできます。

基板の省スペースを熱望している設計者は、LC898240の高効率ステッパモータ・ドライブ機能とモータドライバおよびパワーMOSFETをワンチップに収めた電流コントローラ/ドライバ IC統合型のLV8702Vを採用する事で、このすべての機能を1チップで手に入れることができます。

また、この新しいデバイスは、従来のモータ・ドライバにより消費される軽い負荷において消費電力を劇的に抑えます。

 

出典:『より優れたモータドライバと、省エネ設計の経済性』オン・セミコンダクター


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。