生産管理とトヨタ生産方式|元トヨタマンの目
「生産管理」はトヨタ生産方式の「入口」と言える。
生産管理の業務で最も重要なことが、最終工程である車両組立ラインに仕掛ける車両の順番を種類別にバラバラにして決めるということだ。
たとえば、1直8時間で8台生産される種類の車両は1時間に1台が仕掛けられる。また、1直8時間で48台生産される種類の車両は10分に1台が仕掛けられる。
このようにすれば、すべての部品も時間的に均等に使用されるというわけだ。
そのため、部品メーカーがトヨタに部品を納入する場合は、納入便1台あたりの納入個数は常に一定であることになる。
この生産計画は1ヶ月単位で変更される。逆にいうと、1ヶ月間は毎日の生産量が一定になるということだ。
これが保証されることで、要員については1ヶ月間は変動させる必要がない。
すべての前工程は、最終工程の車両ラインから1台1台時々刻々と完成していく車両にあわせて1個1個部品を造れることを究極の目標としている。
この目標を達成するためには、段取りをゼロにしなければならない。そのためトヨタのすべての工程は、この段取り改善を最重要課題として取り組んできた。
このような方向性・前提で全工場を運営しながら、さらに工程づくりの究極の目標としては、「生産量が増えればそれに応じて要員を増加させ、逆に生産量が減ればそれに応じて要員を減少させられる工程にせよ」ということだ。
このような工程づくりができて、さらに毎月上手に要員の出し入れが実施できているかを検証する手段が、生産性評価(能率管理)だ。
この生産性評価がトヨタ生産方式の「出口」であると言える。
私はこの「入口」と「出口」の両方の実務を長期間経験することができた。トヨタはこの両方について実に巧妙な体制を築きあげている。
この「入口」と「出口」を念頭において、トヨタマン全員でつくりあげてきたものがトヨタ生産方式である。