改善すれば敵をつくる|元トヨタマンの目
トヨタは改善をし続けている。
今日の現場は明日には姿が変わっているかもしれない。このような会社だと平社員から役員トップまで誰かが改善するのを待っており、よい提案があれば、即採用し提案者をほめる。
全員が正しいと思うことのみを考え思いつけば発言するわけだ。私はこれが当たり前だと思っていた。
トヨタを退社し、世間に出てみると「改善」というものの扱いがトヨタとはまったく違っていることに衝撃を受けた。
それは世間の多くの会社では「改善」というものが、「前任者や上司のやってきたことを否定すること」になってしまっているという事実だ。
「こうやってやればもっとうまくやれるんだけど、こんなこといったら最後、いろいろにらまれちゃうよ。まあやめとけ、やめとけ」といった調子だ。
結局正論が通らないし結果言おうともしなくなってしまうのだ。
このような状況は大赤字で倒産寸前にならなければ、是正できないのではないだろうか。
この点でもトヨタは素晴らしい会社だった。誰もが何の躊躇もなく思ったことが言える。
大声を出して怒鳴る人がどの部署にも少なからずいてとても恐ろしく且つ活気のある会社だった。
このような会社だからこそ人材がすくすく成長し、最強のトヨタマンがつくられていくのだと思う。