経営戦略と選択肢を調査すると、選択肢があまり無いことがわかる。……では、経営トップはどうするか?
グローバル化、少子高齢化などの環境変化と共に、日本産業が大きく変化しなければならない現代、多くの企業で求められる要件は『経営戦略の在り方』と『トップキーマンのマネジメント力』、そして『次世代を担い社会にお役に立ちつつ、地球環境に優しい新製品』の創出ではないでしょうか?
この3つの軸をしっかりした企業が進展していくことは、今日まで産業が伸び、日本を支えてきた基本事項であり、これからも変わらないはずです。
では、この中の『経営戦略の在り方』について「製造部門の明日を担うトップキーマンがどのような戦略を展開すべきか?」について調査研究した結果を解説することにします。
下の図がその要点ですが「産業分野を限定すると、企業の選択肢はあまり無い!」という事がわかりました。
では以下、簡単に例を紹介することにします。
先に、日産ゴーン社長のリバイバルプランの快挙は、多くの皆様の記憶に残る快挙だと思います。
詳細はともかく、では自動車産業が持つ戦略における選択肢は? と見ると、まず市場を見て、このケースでは、当時、緊急対策が必要になります。
トップ交代が行われたわけでしたが、徹底的な原価低減対策を進めるためにM&Aすなわち、吸収合併や企業の転売~提携までがありますが、この策は選択しなかったわけです。
それなら大きな資金、または図に示した100分の1グラムの歯車製作で有名になった樹研工業のように、内部留保を駆使して最先端分野への集中、またはリフレッシュという策が考えられますが、その手も日産自動車の選択肢では無かったわけです。
そうなると、まず売れない製品と赤字工場を切り、儲かる仕組みをつくる。
次に、キーマンを選択して売れる製品に集中する。さらには、トップ自らが現場に行き、総ての責任を持つ形で対策重点内容に対し直接指示しスピード改善を図る、という策を展開する必要が生じます。
ゴーン社長から学ぶべき大きな点は『セブン・イレブン』の名がつけられた行動と共に、経営改善の要点を直接、現場のキーマンと話し、決め、進めた活動です。
ちなみに、この名は朝7時から夜12:00まで3ヵ月間実践したそうです。
具体的な内容は、儲かる企画をすでに持ち、後に100名ものゴーン・チルドレンの方々へ、革新の重点内容を直接委託していった例です。
このような「選択と集中」に代表される内容は、既に赤字で苦しむ米沢藩を雇われ社長で来た上杉鷹山が『火種論』と共通する内容です。
同じ行動はPanasonicの前・中村社長、GEの前・ウエルチ会長、三共電機を1年で革新した日本電産の永守社長の行動にありました。
以上、緊急赤字脱出戦略の在り方の一例を紹介しましたが、ここには、トップを変えた革新策の展開(人事を尽くして天命を待つ)には戦略を具体化する戦術(具体的な展開手段)もある程度決まっています。
そうなると、「トップの任についた方の行動力が成果創出までの時間と、定めた目標達成度を大きく左右することになる」という仕分けになります。
中央部の経営再建の緊急対策に対し、右側は起業です。
例を示して行くと、例えばそこには多くの戦略がありますが、レトルトの名の製品をブランド化して再復活する例があります。
しかし、特定顧客や市場を狙う策がありますが、昨今紹介された髪の毛の1/6の太さの布を織る、石川県・七尾の天地合繊『天女の羽衣』や、福井県・越前の龍泉刃物で、鍛造技術の利用で西洋料理用ナイフの切れ味を格段に向上させ、現在、世界的に料理専門家間では知らない者がいないほど有名になった取り組みなどは、衰退作業の中で『技を極めてダントツ製品化する』という中小企業が過去の技術や技能を極限まで追求して企業内で起業的な取り組みを成功させた例ということができます。
また、培った技能を新たな産業ニーズに活用して行く例もあります。
例えば、筆者の近隣の等々力という地では、下請けで生計を立ててきた例があります。
しかし、親会社は海外へ移転、試作専用企業として何とか活動してきました。量産品は海外へ移行する一方であり、廃業となる企業が相次ぐ状況でした。
そこで、企業が“チーム等々力”という連携を組み技能展示会を開くと、昨今の地震対策上、仏像など高価な美術品を保護する免震テーブルの開発の依頼が大学から舞い込み、専門技術者支援も参画、見事に安価な免震テーブルを実現した例です。
以降、ビジネスは復調、若手が見学に来る地に変化したそうです。
これに似た例は埼玉県の入間にもあり、チーム入間の名で活動しています。
左側は日本で食えないのでグローバルという例ですが、グローバルに対応可能な戦略と技術を持つ企業が新たな発展になることが判ります。
以上このように整理すると、企業における選択肢は少ない実情です。