交通事故の死亡者数を半減するための世界的な取り組み
2016年4月、国連総会は2020年までに世界中の交通事故による死傷者数を半分に減らすという国連持続可能性目標における目標を再確認した、自動車の安全性に関する決議を可決しました。
世界的には、交通事故によって5分ごとに12人が死亡し480人が負傷しています。
そして交通事故には毎年5000億ドルの経済的コストを強いられています。
2010年に国連総会は、これらの愕然とする数字を踏まえ、道路交通事故死者数の増加を抑止し削減することを目的とした、交通安全のための行動の10年(2011年~2020年)を開始しました。
国連欧州経済委員会(UNECE)は、米国およびカナダ以外の自動車規格のための事務局であり、車両の安全性に関して重要な役割を果たすことができます。
世界保健機関(WHO)には進行状況を監視する役割が課せられましたが、世界人口が4%増加し、車の普及が16%拡大しているにもかかわらず、2013年までに死亡者数が頭打ちになっていたことが判明し、過去3年間における道路の安全性に関する努力が人命を救ってきたことを物語っています。
低所得国では、交通事故の死亡者数の割合が不均衡であり、飲酒運転、オートバイのヘルメット着用、運転速度に対する規制強化によって実質的な改善を達成できますが、より安全な車の導入も国家安全戦略の重要な部分であり、WHOはすべての車両にエアバッグと電子安定制御(ESC)の実装を推奨しています。
米国国家道路交通安全局(NHTSA)は、ESCはすでに6200人の命を救ったが、現時点でESCを必要としている国はわずか46ヶ国にすぎないと推定しています。
改定された車両の安全性に対する重要なステークホルダはGlobalNCAPです。
NCAP(National Car Assessment Programs: 自動車アセスメント・プログラム)は、自動車購入者に主に5スター・システムによる安全情報を提供して、自動車会社がより安全な製品を販売するよう働きかけています。
1978年に米国が最初のNCAPを立ち上げ、1995年に日本、1997年にヨーロッパがそれに続きました。
中国、ASEAN地域、ラテン・アメリカにもNCAPSがあります。
Global NCAPは2011年に設立され、地域間での情報の共有を推進しています。
このような背景から、総会決議招待国が「すべての新しい自動車に、シート・ベルト、エアバッグ、アクティブ・セーフティ・システムを標準装備し、乗員および他の道路利用者保護のための適用最低規制を満たすよう、国連自動車安全基準または同等の国家基準を施行する政策・措置の採用を検討する」としたことは注目に値します。
先進運転支援システム (ADAS)、自動緊急ブレーキ・システム(AEBS)、歩行者・自転車検知(PCD)システム、およびアダプティブ・フロント・ヘッドライト(AFH)などの半導体応用技術により、交通事故の負傷者や死亡者を大幅に減らすことができます。
オン・セミコンダクターはお客様と共に、技術開発とコスト削減を継続して推進しており、高度安全機能の装備は高級車から大衆車に移行しています。
ある国で稼働中の自動車の装備を一新するには時間がかかりますが、高度自動車安全製品に対する現時点での当社の取り組みは、毎年120万人に及ぶ自動車事故死亡者数の継続的削減に貢献するでしょう。
出典:『交通事故の死亡者数を半減するための世界的な取り組み』オン・セミコンダクター