『ザ・ディマンド—爆発的ヒットを生む需要創出術』は思いのほか読むのに時間がかかった
世の中にはどれほど多くの、売れる商品を世に出す秘訣について書いた本が出ているのだろう。
ある製品が爆発的に売れたのに対して、同種の製品が全く売れなかった、という対比させる例を示し、「こうだから売れたのだ」と分析してみせる。
なるほど、と思うけれど、同じことをしてもやはり売れるとは限らないのではないか、と疑問も沸いてきて終わる。
そんな経験が過去に何度もあったような気がする。
『ザ・ディマンド—爆発的ヒットを生む需要創出術』(日本経済新聞社、エイドリアン・J・スライウォツキー)もそんな1冊かと思ったら、語り口は柔らかく、事例のストーリーが面白いにもかかわらず、読むのにかなり時間をとってしまった。
それだけ中身が濃いということである。
「需要創出」だけ取り上げて、6つの法則をあげている。
1.マグネティック:機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す
2.ハッスル・マップ:時間とお金をムダにする「欠点」を明らかにする
3.バックストーリー:「見えない要素」で魅力を強化する
4.トリガー:人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう
5.トラジェクトリー:魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす
6.バリエーション:「コスト効率の高い製品多様化」を図る
各々が、かなり実現が難しい「法則」であり、しかも6つのうちどれが欠けても「需要創出」に至らない可能性がある。
すなわち、高いハードルがたくさんあり、それをすべて見事にクリアできなければならないのである。
成功した企業に対して対比される企業が少なくても、「多分他もそうだろう」と思わせる厳しさを感じさせる。
市場を創る、などと簡単には言ってはならない、と思わざるをえなかった。
ビジネスは難しい。