『新しい市場のつくりかた—明日のための「余談の多い」経営学』は不思議な本
近所の本屋に立ち寄り、ビジネス書のコーナー(狭い)をざっと眺めていたら、どこかで見たことのあるような表題の本が1冊、目に入った。
推薦をしているのが、東大の藤本隆宏教授である。
著者の名前をじっと眺めていて思い出した。
東洋経済オンライン(だったと思う)で楠木建氏と対談していた人ではないか。
その当時ちょっと関心があったので、この本の「なか見検索」などもやった覚えがある。
偶然の出会いに感謝して購入した。
『新しい市場のつくりかた—明日のための「余談の多い」経営学』(三宅秀道、東洋経済新報社)である。
商品の価値の創造が、すなわち市場の創造になる。
そのためには生活習慣、価値観、文化を開発していかなければならない。
このような壮大な考え方を主として、中小企業を中心とした多くの成功事例を示しながら、やさしい語り口で述べた本である。
読了して、著者の言わんとしているところが納得できたと思う。
ただ、事例が多く、語り口がやさしいのに、なぜかすぐに理解できない部分が多いのである。
例えば、途中まで読んで、中断して、また元のページを開いたとき、「何の話だったっけ」と2、3ページ戻らなければならない、といった具合である。
腑に落ちないまま別の話に移ってしまった、と思っていると、また元の話に戻るということも少なからずあった。
最後まで読んで、目次を見返してみると、何とすべてのエピソードが思い出せるのである。
途中で止めたら「結局何だったんだ」ということになりかねない。
中断せずに一気に読むことが必要である。
サブタイトルに「余談の多い」とあったが、なるほどそのせいで迷子になるのかと思う。
犬の散歩で、いつもとは違う細い道に入り込み、「あれ?道に迷ったのかな?」と思っていると、いつもの道に出ているということがよくある。
そんな不思議な本である。
※2013年11月に書かれた記事です。