人工知能を持つ魚がシーパラに! “多数の機械が最適に調和した姿”をいわしが表現
横浜・八景島シーパラダイスの名物の1つといえば、5万尾のいわしの大群泳。高さ8メートのアクリルガラス越しに、大迫力の遊泳が見られるとして人気です。そんな横浜・八景島シーパラダイスに、人口知能(AI)を搭載した「デジタルいわし」が登場しました。
■「デジタルいわし」って?
人工知能(AI)を搭載した“CGのいわし”たちのこと。オムロン株式会社が「デジタルいわし」一匹一匹に人工知能(AI)を搭載し、15000匹にもおよぶいわしの大群泳(サーディンラン)を185インチの大画面に投影したのです。
■いわしが群れになって泳ぐ理由
自由自在に形を変えながら大きな群れをつくって泳ぐいわしですが、群れをなす理由の一つが“外敵から身を守る”ため。群れからはぐれるとすぐに外敵の餌食になってしまうことから、本能的に高い密度で大きな群れをつくろうとするのだといいます。さらにもうひとつの理由として、嗅覚に優れていることから一匹二匹が餌に気づくと連鎖して大群で向かっていく習性が挙げられるそうです。
■「デジタルいわし」=「多数の機械が最適に調和した姿」
なぜオムロンは「デジタルいわし」を開発したのでしょうか。それはいわしの大群泳に、“多数の機械が最適に調和した姿”を見い出したからだそう。つまり周りの様子を伺いながら群れをなして泳ぐいわしに、「自ら自律的に動き全体調和する多数の機械」を重ねたというわけです。
■リアルタイムに周囲の状況をセンシングする「デジタルいわし」
人工知能(AI)を搭載し、デモンストレーション上で泳ぐ15000匹の「デジタルいわし」たちは、“生き残る”という目標を達成するために3つのルールを守って行動します。
- 外敵が近づいたら逃げる
- 集団で泳ぐ
- 餌を得る
一匹ずつそれぞれが、仲間や外敵との距離、周囲の状況をリアルタイムにセンシングしながら、どのルールを優先するべきなのかを自ら判断し、仲間たちとの距離をコントロールしながら泳ぐのです。
■渋滞しない自動運転のナビゲーションや歩行者の安全を守る交通システムに応用
オムロンは、今後こうした技術課題の解決が自動車の自動運転など、人と機械が最適に調和した豊かな社会の実現に貢献していくと考えているといいます。またデジタルいわしで使われる「自動分散制御アルゴリズム」は、渋滞しない自動運転のナビゲーション、歩行者の安全を守る交通システム、電力の需要供給のバランスをとるスマートグリッドシステムなどへの応用を考えているそうです。
なおこの「デジタルいわし」は、来場者が「いわしキング」になって大群を操作するアトラクションとして実際に横浜・八景島シーパラダイスで楽しめます。2016年5月8日までの期間限定なので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考:
「なぜなぜ?いきもののふしぎなスゴワザ」オムロン株式会社(http://www.omron.co.jp/hakkeijima-seaparadise/)
「人工知能(AI)が「デジタルいわし」に命を吹き込む~自然界から学び、地球社会に還元する~」オムロン株式会社(http://www.omron.co.jp/about/story/detail27.html)