5S

5S

<5S定義>

1S【整理】SEIRI
要るモノと要らないモノをはっきり区分して、要らないモノを捨てる

2S【整頓】SEITON
置場や置場表示を整備して、要るモノが即座に取り出せるようにする
「探す」という行為をなくす

3S【清掃】SEISOU
常に掃除をし、きれいにする

4S【清潔】SEIKETSU
整理・整頓・清掃の3Sを維持する

5S【躾】SHITSUKE
決められたことを、いつも正しく守る習慣づけ

 

私は30年前にトヨタへ入社した。

そのころには、すでにトヨタ生産方式は完成されており、「1S整理」「2S整頓」のおおもとは完成されていた。

われわれは、「3S清掃」以降を日常的に行なえばよかった。

従って、1S、2Sの活動方法については、ブラックボックスだった。

 

しかし特に、中国のクライアントなどは、もちろん、1S、2Sから入っていかなければならないし、具体的にその指導もしなければならない。

ブラックボックスなどと言ってはいられない。

そこで5Sに関する本を、アマゾンで出来る限り買って勉強した。

するとトヨタではやっていなかったいろいろなユニークな方法が紹介されていた。

 

<赤札作戦>

工場や事務所で、1ヶ月以上使用されないモノに、赤札を貼っていく。

そしてそれを一同に集めて処分方法を検討する。

廃棄するか、別途管理するか判断するのだ。

こうやって、空いたスペースにもロープを張って、赤札をつける。

 

うーーーん、これは面白い。

「1S整理」がうまくできる。

よーーし、来月、中国のクライアントで早速やってみることにする。

 

きれいにしただけでは、在庫は減らず、儲からない。

そこでTPSのお出ましだ。

 

機械を工程順に並べて、そこを1個流しする。

品質チェックへのポカヨケ導入。

平準化仕掛け。

自働化、あんどん。

段取り改善。

最後にかんばん導入。

 

5Sの本を読んでいると、このようなTPSへの進展がしっかり書かれていない。

やはり、TPSの一環ということを、きちっと説明する必要がある。

 

現状の生産のしくみに問題があれば、不要な在庫を多く抱えなければならない。

そこにメスを入れないまま、5Sばかりやっていても、まったく儲からない。

5Sだけだと、そのうち疲れてしまうのだ。

 

だから、今まで私は、まず、TPSで切り込んで、最初に仕掛り在庫を減らしてから、5Sに取りかかる手法をとってきた。

しかし、今回はまず5Sから入ってみることにした。

 

ところで、中国では5Sの漢字はすべて日本語読みして、「S」の意味を理解している。

5Sの評価は、中国では非常に高いのだ。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。