4Sについて

4Sについて

※この記事は2009年7月7日に執筆されたものです。

今日7月7日は七夕だがあいにくの雨。

それどころか和歌山では大雨で大変な被害が出ているようだ。

旧暦でいえばこの七夕は8月上旬で、一年で最も天気の安定する時期だった。

それを無理やり新暦にしたため、梅雨のド真ん中になってしまい、織姫と彦星はほとんど毎年会うことが出来ずにいるし、子供たちの落胆も大きい。

このような昔からの祭事は、中国や韓国のように旧暦でやるべきだと思う。

日本全体に合せることはないので、自分の家だけは旧暦でやればよかったと、今になって後悔している。

 

ところで今日の夕方のテレビのニュース番組の特集で「大人になってもかたづけられない人たち」というのをやっていた。

「ADHD(注意欠陥・多動性障害)という病気の1つの症状に、この”かたづけられない”ということがある」という趣旨だった。

そしてみんなでよってたかって片付けてしまう、という番組だった。

この番組には少し納得できないところがあった。

それはトヨタの工場では何万人という人達が働いている。

当然その中にはADHDの人も少なからずいると思う。

なのに工場内は徹底的に整えられている。

 

ではトヨタの工場ではどのようにしているのか。

プレス品、鍛造品、鋳造品などのロット生産品以外はすべて1個流しで、工程内には不要な在庫は1つもない。

在庫のように見えるものは、工程間の運搬を待っている「標準手持ち」であり、在庫ではない。

このような不要な物が一切ないような状態にした上で、次のような教育を行なう。

4S(整理・整頓・清掃・清潔)とは

整理……必要な物と不要な物に分類して、不要な物をすべて捨てる
整頓……必要な物をすぐに取り出せるように置場や置場表示の整備をする
清掃……毎日掃除する(ためて掃除すると大変になる)
清潔……以上の状態を常に維持する

 

したがってADHDの人でも、トヨタのように体制さえきちっとしてあげれば、その症状は「片付け」に関しては出ないと思う。

 

*会社によっては、機械場などもすべてロット生産のままで、仕掛在庫だらけで作業させておいて、その上で作業者に「4Sしろ、4Sしろ」といっているところがある。そのようなところは生産方式の根本からやらないと、4Sでも作業者を苦しめることになる。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。