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2020年に向け開発が進む音声翻訳や光IDなどの最新技術、もう待ちきれ...

2020年に向け開発が進む音声翻訳や光IDなどの最新技術、もう待ちきれない (庄司智昭,[EE Times Japan])

 パナソニックは2016年2月4日、顧客向けプライベート展示会「Wonder Japan 2020」の事前内覧会を開催した。同展示会は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて同社が開発を進める独自の技術やソリューションを展示した。

 全ての人がより快適/便利/安全に過ごすための“おもてなしイノベーション”を体感できる内容になっているという。本記事は、展示の一部から、新しいスポーツコンテンツ体験技術や多言語音声翻訳機、光ID技術を活用した「バリアフリーナビ」などを紹介する。

新しいスポーツコンテンツの楽しみ方

 最初に紹介するのは、「プレミアム・スポーツコンテンツ」。従来のスポーツ競技映像に、センサーを通して得られた選手のバイタルデータや、映像解析技術などを加えることで、映像で新しいスポーツ体験をつくることを目的にしている。

 展示されたのは、競泳を想定したデモ。競泳はテレビで見ていると、選手がどのレーンにいるのか分からなくなることがある。同技術は、放送で用いられるプールを見渡す“引きの映像”から、選手の情報や泳ぐスピードなどをリアルタイムで解析する。

引きの映像から、選手のデータを解析

 解析した情報をもとに、どのレーンにどの選手が泳いでいるのか、どのくらいのスピードで泳いでいるのかといった情報を映像に付加する。説明員によると、映像に情報を付加するときに重要になるのが、「リアルタイム性と映像の演出の仕方」にあるという。同技術は、1秒間に30回の映像処理を行うことで、リアルタイム性を実現している。

選手の情報と泳ぐスピードの情報を付加したイメージ

 同社は、2016年2月4日に電通との業務提携を発表。電通が得意とする「クリエイティブ表現技術・サービス設計」をもとに、映像の演出にも力を入れていくとしている。これらにより、2020年を標準に同技術を活用したソリューションの事業化を目指すとした。

スポーツのトレーニング解析にも展開

 展示では、卓球の試合映像に同技術を活用したイメージも公開されていた。

多言語音声翻訳機

 次に紹介するのは、「多言語音声翻訳機」である。多言語音声翻訳機は、2015年にウェアラブル型を発表。発表当時は、Bluetoothでスマートフォン(スマホ)に音声データを送り、スマホからクラウド上の翻訳エンジン(コーパス)にデータを送り、処理を行う仕組みだった。特長は、集音性能を高く、騒音環境でも発話する人の声を集音できることだ。コーパスは、情報通信研究機構(NICT)が構築している。

 今回の展示では、端末にWi-Fi機能を内蔵。これにより端末単独で動作が可能になり、従来2〜3秒かかっていた反応時間を、約1秒に向上したという。対応言語も、日本語/英語/中国語/韓国語に加えて、要望の多かったタイ語を追加したとしている*)

タブレット型の「多言語音声翻訳機」

 また、JTBや成田国際空港などと実証実験を進め、新たに2種類のタイプも発表した。タブレット端末向けのスピーカーマイクユニットタイプと、メガホン型である。

 スピーカーマイクユニットタイプは、多言語音声翻訳機に加えてマイクユニットを搭載。ホテルの受け付けや対面で行う接客業務において、外国人とのコミュニケーションをスムーズに行えるとした。メガホン型は、公共交通機関や防災時の活用に向く。

*)メガホン型に関しては、タイ語に対応していないという。

左=スピーカーマイクユニットタイプ/右=メガホン型
左=スピーカーマイクユニットタイプ/右=メガホン型

 説明員は、「コーパスをどのようにして構成するかがポイントで、AIを活用することで表現パターンを自動拡張する技術の研究も進めている。やはり、導入時にはお店や地域に合わせたコーパスのカスタマイズが必要になる。そのため、NICTが構築したものに当社独自のカスタマイズを加えたソリューションとして展開していく」とした。

無線LANの10倍以上の速度で通信「WiGig」

無線LANの10倍以上の速度で通信ができる「WiGig」送信機

 展示では、既存の無線LANの10倍以上の速度で通信ができるミリ波無線「WiGig」の紹介も行われていた。WiGigは、4K/8Kコンテンツなどの大容量のデータも、ストレスなく受信できるようになるという。総務省の委託研究の一環で、2016年2月18〜26日にかけて、成田国際空港 第2ターミナル3階の出発ロビーで実証実験が行われる。

対面KIOSK

オペレーターと会話ができる「対面KIOSK」


手話や筆談、多言語会話などでコミュニケーションが可能だ

光ID技術を使ったバリアフリー

 最後に紹介するのは、GPSが届かない屋内でも目的地までのバリアフリー経路をナビゲーションする「バリアフリーナビ」である。位置情報検出には、パナソニックの高指向性ビーコンを活用。従来は隣接するビーコンとの電波干渉により、どのエリアにいるのか判別することはできなかったが、高指向性ビーコンは独自のビームフォーミング技術により、どのビーコンの電波が強いのかを判別して位置情報を検知できるという。

 また、LED光源にスマホをかざすことで情報が得られる「光ID」技術を活用している*)。サイン看板にスマホをかざすと、ユーザーの母国語で、施設内の目的地まで誘導してくれる。車いすやベビーカーの方には、バリアフリー経路でナビゲーションを行ってくれるので、複雑な施設内においても安心して移動できるとした。

*)関連記事:光の点滅とスマホでIDをやりとり、どんな仕組み?

サイン看板(LED光源)にスマホをかざすと、「光ID」技術を通して施設内の目的地まで誘導してくれる。車いすやベビーカーの方には、バリアフリー経路でナビゲーションを行ってくれるという
サイン看板(LED光源)にスマホをかざすと、「光ID」技術を通して施設内の目的地まで誘導してくれる。車いすやベビーカーの方には、バリアフリー経路でナビゲーションを行ってくれるという


高指向性ビーコンと骨伝導ヘッドフォン。骨伝導ヘッドフォンは視覚障がい者向けで、耳をふさがないため周囲の音を聞きながら、音声案内を受けることができる

 バリアフリーナビは今後、「乗換案内」を展開するジョルダンと技術連携し、空港から目的地までのバリアフリー経路の検索/ナビゲーションを実現したいという。


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