高校生・大学生が「東大阪モノづくり体験塾」成果発表 ものづくり人材の育成目指す
成果発表の様子(写真提供=東大阪モノづくり体験塾)
地域のものづくり企業での体験学習の成果を発表する「東大阪モノづくり体験塾」第5回フォーラムが2月27日、東大阪市立市民多目的センター(東大阪市高井田元町1)で開かれた。
東大阪市内の工場密集地である高井田地区のものづくりを次世代に継承するため、高井田まちづくり協議会が2008(平成20)年に始めた「高井田モノづくり体験塾」を引き継ぎ、より広く東大阪から発信しようと2018(平成30)年に第1回を開催した同フォーラム。高校生と大学生が製造現場を体験し、地域企業と教育機関などが交流することで、東大阪のものづくりの現場で活躍する人材を発掘し、地域企業の発展に貢献することを目的に行う。
新型コロナウイルスの影響で今年も入場者数を制限し、ライブ配信も同時に行って、5人の高校生・大学生が成果を発表した。
同塾代表で川勝溶工所(高井田西2)の代表・川勝親さんは冒頭、「高井田から始まって9年、東大阪に名前を変えて5年、今年で14年目になる。学生には学校で学べないことを学んでもらい、企業側には若い考えを取り入れて活用していただこうという考えで行っている。そこに就職するとかではなく、学生さんは気楽に、今まで体験に行った会社にいろいろ聞いたり、意見を言ったりしてもらえれば」とあいさつした。
その後は、藤綱合金(高井田本通1)の藤綱伸春社長が高井田で過ごした幼少期から会社設立までのものづくりとの関わりについて基調講演を行い、勤め先の社長が急逝し、その事業を継承した思いを伝えた。
成果発表では、近畿大学、大阪産業大学、大阪府立清水谷高校の学生5人が発表を行った。プラスチック製品の設計・製造販売を手掛ける甲子化学工業で学んだ近畿大学文芸学部文化デザイン学科の津本隆宏さんは、ニューヨークの街並みをイメージした3Dプリンターで作る照明器具を提案し、製作。「3Dプリンターの可能性を直接感じることができた。ものづくりをしている人の熱意が伝わって、価値観が変わった」と発表した。
インターンは3年からしかできないからと入塾を希望した大阪産業大学工学部交通機械工学科2年の三原瑞希さんは、鉄道車両部品、板金加工を手掛けるexcellent(稲田新町2)で5日間、製造現場を体験。「大学の授業で溶接を学んだが技術が身に付いていないと実感した。これから就職に向け、必要な知識や技術をいち早く身に付けるよう努力したい」とまとめた。
同塾幹事で繁原製作所(東鴻池町5)の繁原秀和社長は総評で、「外部環境の変化の中で新しいことに挑戦している企業について皆さんに気付いてもらえたと感じた。東大阪のものづくりは大抵が中小企業で、変化することが得意なのは中小企業だと思っている。これから就職活動を含めて、変化に挑戦している企業、将来どうなっていくのかワクワクするという企業を見つけてもらい、そういう企業に就職をしてもらえたら」と話した。
出典:『高校生・大学生が「東大阪モノづくり体験塾」成果発表 ものづくり人材の育成目指す』(東大阪経済新聞)