風が吹けば桶屋が儲かる IoTが流行ると儲かるのは…どこ?
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがある。ある事象が、まったく関係ないと思われるような場所や物事に影響が及ぶことのたとえだ。もともとは江戸時代の小説である浮世草子で使われたのがはじまりで、東海道を巡る弥次さん喜多さんの道中記としても有名な「東海道中膝栗毛」の中でも出てくるフレーズである。いま日本の製造業ではIoTがトレンドとなっている。IoTが普及すれば儲かるようになるのだろうか
IoTの恩恵を受けるのはセンサや通信機器だけではない。その波及効果は無限の可能性を秘めている。IoTが普及するためには、センサや通信機能を備えたIoTモジュールが必要になる。IoTモジュールはいわば小さな電子機器である。プリント基板とその上に乗る各種の半導体と電子部品や電源、ケーブル、コネクタ、それを保護する筐体などで構成され、IoTの普及にともなって、それらの需要も喚起されるはずだ。またクラウドにデータがたくさん集まるということは、データセンターの規模が大きくなり、データセンター向け製品の市場も盛り上がる。通信インフラも同様だ。エレクトロニクス業界だけ見ても、関係しない分野は一つもない
冒頭の「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざは、現代では「無理やりなこじつけであり、実現可能性が低い不可能なこと」というニュアンスで使われることが多いそうだ。しかしIoTはこの類いではない。逆に各メーカーが当事者となり、IoTをビジネスチャンスとしてとらえてあらゆる面で活用すればリターンは大きい。いまそれができているのは、IoTの直接的なプレーヤーであるセンサやFA機器メーカーが多く、それ以外のメーカーは少ない。まずは製品をIoT時代に寄せて開発する。または自社がIoT時代を見据えていることをPRすること。こじつけでも活用することが大事だ。IoTはあらゆる企業にとってチャンスである。遅れは命取りになりかねない。