顧客に現場へ足を運んでもらう

顧客に現場へ足を運んでもらう

貴社の現場へ顧客に足を運んでもらうことはありますか?

1.訪日外国人3,000万人目前

2017年、訪日外国人は過去最高の2,869万人となったようです。

2015年で1,973万人に達し、2,000万人突破も目前!となったのが、つい3年前でした。

それが、あっという間に、3,000万人突破へ王手がかかった状態に至っています。

 

皆さんの地域や近辺の観光地を訪れる外国人が年々増えている感じがしませんか?

こうした傾向は2,020年の東京オリンピックまでは継続されそうです。

インバウンド需要が高まり、国内製造業にとってもプラスになる要素がいろいろとあることでしょう。

 

さて、訪日外国人の国別トップファイブは以下の通りです。

 

(出展:日本政府観光局(JNTO)HP)

1.中国(735万人)

2.韓国(714万人)

3.台湾(456万人)

4.香港(223万人)

5.アメリカ(137万人)

 

このうちトップの中国人観光客が選択する訪問先として、新たに浮上しつつあるところがあります。

 

興味深い記事を目にしました。

中小製造現場も関係する場所です。

2.町工場が観光先の有力候補地に

なんと、町工場が観光先の有力候補地として挙がっているというのです。

 

リピーターが増えている中国人観光客の中には、農村や漁村という日本の原風景を追い求める旅も選択肢に加えている人もいるようだが、そんな中国人観光客の次の観光先の有力候補として浮上しているのが「町工場」の見学だ。

 

「バチバチ」という酸素アセチレン溶接の飛び散る火花や、「ウィーン、ウィーン」と機械音を上げて稼働する工作機械など、そんな町工場に足を踏み入れた時、身近に迫る迫力に「多く観光客に感動してもらえる」(町工場の観光に力を入れる中小企業の幹部)というのだ。

 

これまでの工場見学というと、大企業の整備された見学ルートで係員の誘導に従って見学するのが主流だった。

大手メーカーの食品工場などでは見学コースの最後に自社製品の購買ができる土産物店が設置され、製品を購入させる仕組みのところもある。

 

だが、町工場は「見学ルート」が整備されているわけではないし、見学ルートの最後にお土産物店があるわけでもない。

その代わり、迫力のある機械設備、身近で職人が作業をしている光景を見られる。

 

町工場は何が出てくるか分からない、あたかもジャングルの密林に足を踏み入れたかのような魅力もある。

 

(出典:ダイヤモンド・オンラインメールマガジン 18/3/27号)

 

仕事場としてしか考えていなかったモノづくりの現場をそうした視点で見ることには気づきませんでした。

しかし、すでにこうした観点で町工場やモノづくりの現場を活用している地区が国内にも20か所くらいあるというのです。

 

町工場を観光資源として整備し、見学者を受け入れ、観光地の見学先に組み込んでいます。

特に町工場の開放で成功しているのは、新潟県の燕三条地区や東大阪市だ。

中でも燕三条地区では地域を挙げてものづくりによる観光客誘致を推進しており、年に1度、町ぐるみの大々的なイベント「工場の祭典」を展開し集客している。

 

工場の祭典は当初54の事業所が参加し始まった。

2014年に閉校した小学校の跡に15年に開設している「三条ものづくり学校」や、燕市産業資料館、さらに参加の町工場も加えて地域全体を回遊できるようにしている。

(中略)

「工場の祭典」は昨年は当初の倍、100の事業所が参加するまでに至っており、昨年は4日間の会期中5万人以上の来訪者を集める人気ぶりである。

(出典:ダイヤモンド・オンラインメールマガジン 18/3/27号)

 

さらに、この燕三条地区では、通年で観光客や見学客を受け入れる町工場も増えているようです。

現在では十数ヵ所の事業所に及び、いつ行っても工場の見学ができます。

 

こうした町工場が増えているということは、裏返せすと、モノづくりの現場を見てみたいという人が少なくないということです。

見た目の興味を引く、モノづくりの現場はもともと、それ自体に価値があると考えられます。

3.製造現場を営業活動に活用した話

開発業務の責任者を担っていたころの話です。

新開発プロセスを適用した製品の拡販活動で、見込顧客に現場を見てもらうことがありました。

 

そこで製品の現物を使って説明をするコーナーを作りました。

また、現場では説明用のパネルを掲示しました。

通常の生産活動に欠かせない、作業標準や安全管理ポイントの表示は言うまでもありません。

製造現場で現物を目の前にした見込顧客との会話はしばしば盛り上がりました。

 

見込顧客にはいろいろな立場の方が来られます。

エンジニアや技術に詳しい営業担当者とはかなりつっこんだ話になったりして、研究開発や試作時の裏話などをすることもありました。

 

そうした会話の中で、“そうですね、実はウチもね……”と客先での裏話などお話ししてくださる顧客もいました。

モノづくりの現場には、製造業に関わっている仲間意識を醸成する機能があるように感じられます。

 

したがって、製造現場を営業活動の舞台として活用することもできるのです。

そこで、製造現場が持っているもともとの魅力を生かして、顧客との関係性を強化します。

 

製造現場を直に見てもらう機会を作ってはどうでしょう。

作業標準が掲げてある。

安全活動がしっかりやられている。

生産管理も仕組みとして継続的に回っているようだ。

現場の作業者の躾も大したものだ。

 

こうしたことを顧客に感じてもらえるようになったら何か変わりませんか?

この現場で製造してもらえるなら、この会社にお願いしようと顧客は考えるかもしれません。

 

先の事例では、現場を見てもらった見込顧客とは、良い関係を築くことができました。

現場を見てもらった見込顧客へ“信頼”を届けられることを実感した次第です。

 

中小現場の永遠のテーマは生産性向上です。

これ以外にはありません。

 

ただ、それに加えられる戦略がありそうです。

「見せる現場」

「魅せる現場」

現場を営業活動に活用する独自の戦略です。

 

こうした戦略からは、例えば、現場自体から情報発信するアンテナショップのようなイメージも浮かびます。

 

このような現場の作業者のやる気はどうなるでしょう。

高まる一方ではないでしょうか?

人に見てみもらう立場になるからです。

 

職場のことを誇りに感じずにはいられません。

本業のモノづくりでもベクトルが揃いやすくなります。

 

製造現場を営業活動に活用する仕組みを作りませんか?

 

株式会社工場経営研究所 「儲かる工場経営」メルマガ ご登録ください。

毎週火曜日配信中。

https://48auto.biz/koujoukeiei/registp.php?pid=3

弊社セミナーへご参加ください。

経営者のための中小製造現場「生産性UP体制つくり方」セミナー!

URLをクリックしてしてお申込みください。

http://koujoukeiei.jp/seminar-lp


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)