需要変動に適応する仕組みづくりの2つのポイント
需要が下振れして、減産体制が必要なとき、現場は需要変動に適応できますか?
1.需要が変動しても最低コストを継続できる仕組みづくり
製品を造れば売れる時代は過ぎました。需要が右肩上がりで増えることは期待できません。
顧客要望の多様化という背景もあり、需要予測の精度を上げるのは難しくなっています。
したがって、需要変動に適応することが必要です。
設定した生産数量より需要が少ないと現場には余力が生じます。
ムダ以外のなにものでもありません。柔軟な現場でないと、そのムダは、放置されるのです。
最低コストで競争力を維持したい中小現場にとっては致命的な問題となります。
現場は筋肉質でスリムな状態を継続すべきです。
需要の下振れにも柔軟に対応できる仕組みが必要となってきます。
経営者目線では、現場の人件費、労務費の変動費化です。
需要変動に応じて、適切な工数配分を組織的にできることが儲かる工場経営で求められます。
これまで、しばしば見られた、どんぶり勘定の工場経営では生き残れません。
需要が変動しても最低コストを継続できる仕組みづくりは、今、中小製造現場がやらねばならない課題です。
2.需要変動に適応する仕組みづくりの2つのポイント
100個の製品を、10人で生産している職場を想定します。
需要が20%減ったら、製品は80個だけ生産すれば十分です。人員数も20%減らして、8人で対応します。
需要が40%減ったら、製品は60個だけ生産すれば十分です。同様に、人員数も40%減らして、6人で対応します。
このように、必要生産量に応じて、現場の人員数を調整できなければ、需要変動に適応できません。
生産量が100個でも50個でも、同数の人員でないと製品が出来上がらない生産ラインがあります。人員配置が固定化されている生産ラインです。
減産体制下では、高コスト化となります。需要が変動しても、最低コストを継続できる仕組みが必要なのです。
さらに、重要なのは余剰人員の活用です。需要が20%減ったら2名、40%減ったら4名の余剰人員が発生します。
現場人件費、労務費の変動費化の肝はここにあります。余剰人員に何をやらせるか、ここに明確な経営者の意思や意図を示す必要があります。
経営者の意思表示なしでは、せいぜい、現場の清掃時間が長くなるだけです。
それでは、せっかくの余剰人員を活用したことになりません
そこで、付加価値を創出する業務をやってもらうのです。
製品単価アップさせる、あるいは新たな価値を生み出す製品(サービス)を生み出すことを狙って仕事をしてもらいます。
ですから、しばしば、言われるように、余剰人員は優秀な従業員からです。
こうした対応は、人員配置によるモチベーション低下を防ぐためにも欠かせません。
したがって、余剰人員にやってもらう「付加価値を創出する業務」は経営者が事前に決めなければならないのです。
思い付きで設定できる業務ではありません。5年先、10年先を見通したモノづくり戦略も必要となってきます。
需要変動に適応する仕組みづくりのポイントは2つです。
1.仕事量に応じて作業者数を再配置できる生産ラインにすること。
2.余剰人員で付加価値を生み出す業務を設定すること。
これらがセットで効力を発揮します。1項のみでは効果はないことに留意します。
3.少数精鋭で筋肉質の現場に必要な柔軟性
中小製造現場は、少数精鋭で筋肉質を目指します。
経営者の右腕となるチームが中心となって現場を引っ張る状態が理想です。
使命感に基づいたチームオペレーションが機能しています。
ムダに目を光らせ、ムダを見つけらたそれを除去すること。これが生産現場での、基本姿勢です。
しかし、それだけでは夢がありません。見通しを実感できる業務も欠かせないのです。
5年先、10年先を見通して設定された目標を達成するための将来投資は、経営者の想いを反映しています。
そうした業務は、日常的なムダ取りへの動機づけにもなります。
「余剰人員を生み出さば、将来投資につながのだ。」
こうした経営者の明確な意思表示は、現場のやる気を引き出します。
このような仕組みがある現場では、減産体制でも、モチベーションは下がりません。
生産活動は低迷しますが、その代わりに将来投資が促進されるからです。
経営者が設定した、5年先、10年先の目標の実現に向けた取り組みは進みます。
現場の柔軟性から、将来投資が生まれる流れを、しっかりと、現場へ説明します。
不確実性がどんどん高まる中、需要変動へ、したたかに対応する仕組みを現場へ仕掛けるのです。
どんな時でも、現場は頑張れます。
それが、需要が変動しても、最低コストを継続できる仕組みづくりです。やる気を引き出す仕掛けも含んでいます。
需要が変動しても最低コストを継続できる仕組みづくりをしませんか?
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