過去の経験を生かした新製品開発「名古屋木材株式会社」

過去の経験を生かした新製品開発「名古屋木材株式会社」

「曲がる木」で商品開発

名古屋木材株式会社は建材販売を主業務とする会社です。

しかし、建材販売は今後の少子化社会を考えれば住宅数の減少とともに減っていくことは容易に予想することができます。

その中で当社は会社理念である「循環型社会形成に貢献する」ことを軸に置きながら新しく商品開発をすることに挑戦していったのです。

 

その発想は、木が使われていなかったところに木を使ってもらえるような社会を形成していくことにあるそうです。

新しく商品開発したのは、岐阜大学と共同して特許権取得した「曲がる木」を使ったものです。

「曲がる木」は、木材に薬剤等を使うことなく木材を圧縮することで木目が美しいままに木を曲げることができる独自の技術です。

 

この技術を使って、木目も美しく手になじむ「木の手帳カバー」を製造しました。

「木の手帳カバー」は木材が薄く曲がるからできるものですがそのヒントは、愛知淑徳大学の大学生との共同開発で薄い栞を作ったことにあったそうです。

材料の開発から製品のヒントまで大学といった多くの力を借りることで製品化をした当社。

 

商品はさまざまな意見や力を借りることでいい商品ができるのです。

当社は多くの力を借りることで新しい商品を作ることができた一つのいい事例だと感じました。

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クラウドファンディングを使ってリスクを減らした商品作り

また、当社は「木の手帳カバー」を販売する際にクラウドファンディングを利用しました。

当社はもともと建材販売の会社です。

そのため、BtoC向けの販路は多く持っていませんでした。

 

その中で売れるかわからない商品を在庫を抱えてやるにはリスクが大きいと判断。

そこで使ったのがクラウドファンディングです。

以前当コラムでも紹介したクラウドファンディングですが、大きく(1)資金調達、(2)マーケティング、(3)プロモーションの3つの効果の効果があります。

 

新製品を製造する際、以前は店頭に並べるために商品を作る必要がありました。

それに対して、クラウドファンディングであれば製品を多くの人に見てもらい資金が調達できた場合に、資金を出してくれた方に製品をお返しすればいい。

そうなると、本当に商品が受けるのかどうか市場判断したうえで製品化を図ることができるのです。

 

当社はクラウドファンディングの効果の大きさを話しています。

今後もクラウドファンディングを使って多くの商品を出していきたいと話しています。

本業から離れないことの必要性

「曲がる木」の商品は百貨店でも販売されるなど広がりを見せています。

そして、新製品開発は本業の建材販売に対しても効果を発揮しているそうです。

「循環型社会形成に貢献する」という会社理念にもつながり、イメージアップにもつながったそうです。

 

新製品開発をする際には本業とリンクするものを製造すると過去の経験も活かすことができ、さらに本業にも良い影響が出てくるものだと感じました。

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名古屋木材株式会社
URL: http://www.meimoku.co.jp/

 

出典:『過去の経験を生かした新製品開発「名古屋木材株式会社」』開発NEXT


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。