進捗管理で顕在化した問題点が意味することとは

進捗管理で顕在化した問題点が意味することとは

日々の進捗管理をしながらイノベーションの土台となる情報的経営資源を蓄積する、と言う話です。

日々の進捗管理では、問題を解決する仕組みも構築していますか?

 

日々の進捗管理で現場の問題点を顕在化させます。

問題の認識と対策の両輪を廻して、イノベーションへつなげます。

お客様を意識した魂の入ったモノづくりを実践します。

1.進捗管理のポイントは遅延情報の共有化

日々の進捗管理では、生産計画と実績を照らし合わせ続けます。

計画と実績の比較作業が日々の進捗管理の基本です。

差異が発生したら、問題を解消し挽回を図らねばならず、現場リーダーは常に工場全体の生産計画を把握できる状態になければいけません。

 

問題解消には全体最適の視点が欠かせないからです。

日々の進捗管理を上手く廻すためのキモは、現場リーダーと各工程のキーマンによるチームオペレーションです。

そして、質の高いチームオペレーションを実現させるためには質の高い生産計画が前提条件にあります。

 

いかにチームワークが良くても、前提となる生産計画の精度が悪ければチームオペレーションを機能させようがありません。

バタバタするだけです。

特に1日〜10日を対象にした小日程計画は、現場の日々のスケジュール表です。

 

現場の各工程が果たすべきコト(品名、数量、納期)を表現されています。

ですから、小日程計画の質は生産活動の質に直結します。

現場はこのスケジュール表で毎日の仕事のゴールを把握します。

 

そして、計画と実績の差異を最初に認識するのは現場作業者です。

現場作業者が発信した「遅延情報」をもとにチームオペレーションを機能させ、挽回を図ります。

そのために「オクレテイルコト」を共有することが大切です。

 

情報を定着させるために、感性に訴えかける「色」も活用します。

2.日々の進捗管理で現場の問題点を顕在化させる

さて、自社の工場で、生産活動の遅延はどの程度の頻度で起きますか?

現場へ出した作業指示の半分、50%は計画した納期よりも遅れますか?

遅延が50%もの頻度で発生しているようでは、そもそも何か根本的な間違いがある。

 

生産計画、あるいは作業指示の内容がコロコロ変わっている等……。

多くの工場では納期を最優先に順守するよう頑張っています。

ですから通常なら、数パーセントあるいはそれ以下です。

 

生産活動のルールや仕組みがあろうがなかろうが、現場独自の納期遅延を起こさない体制(役割分担)ができあがっています。

現場独自に時間をかけてそうした体制を構築している場合が多いです。

そうした中でも、ある頻度で計画に対して「遅れる」事態が発生します。

 

なぜでしょうか。

工場が成長・進化するヒントは、日々のこうした出来事にあります。

企業とは「変化適応業」であり、「変化創業業」です。

 

変化に対応したり、変化を創ったりすることが企業の仕事。

会社や工場を取り巻く環境は変化するのが普通だからです。

顧客も、市場も、競合も、業界も、地域も、社内も、なんでも工場経営を取り巻く環境は全て時間と共に変わります。

 

今日は問題なかったけれど、明日は問題になるかもしれない。

従来は問題なかったけども、今になって問題になってきたのは、現場独自の体制が「環境の変化」に対応できなくなりつつあるからです。

あるいは、変化に対応する現場独自の体制も仕組みも持っていなかったからです。

 

つまり、日々の進捗管理で発生した問題は、環境の変化に追随できていない、現場の弱いところを指摘している、と解釈します。

 

  • 受注が重なって作業指示が交錯し、情報が上手く伝わらず遅延した。
  • 短納期で工程を進めたら品質が悪化し、完成品数量に不足が発生した。
  • 顧客の特殊な要望に対応したら失敗し、再製作となった。
  • 新たに採用した新人の作業効率が低く、大幅に工程が伸びた。

 

問題発生のキカッケは環境の変化です。

環境変化は社外でも社内でも、どこでも起きています。

そして、環境変化は認識できている場合もあれば、認識できていない場合もあります。

 

発生した問題のおかげで、我々は「変化」に気が付きます。

これまで、問題として発生していなかったのですから。

将来へ向けての警告を発してくれているわけです。

 

問題発生は、正直言って楽しい事ではないので避けたいと考えるのが普通です。

そこを、あえて前向きに、未来志向でとらえます。

日々の進捗管理で、現場の問題点を顕在化させられます。

 

カイゼンのキッカケになります。

3.問題の認識と対策の両輪を廻しイノベーションへつなげる

日々の進捗管理で顕在化した問題を解決するには2段構えが必要です。

暫定策と恒久策です。

なにせ、売上を上げるための商品を日々製造している生産ラインが対象です。

 

計画外に停止させて売上に影響を及ぼしてはなりません。

ですから、まずは暫定策で応急処置をします。

そして、タイミングを見計らって恒久策をとる。

 

このような流れです。

ここで、是非やりたいことがあります。

それは、発生した問題点の対策(暫定策や恒久策)情報の共有化です。

 

具体的には問題点、原因、対策内容等を記入した管理表で工場全体見える化します。

こうした問題点を設備毎、工程毎、製品毎だけでなく、工場全体横断的に眺めると、大きな視点による効果で、解決策が浮かぶ場合もあるからです。

場内エアーや場内工業用水にまつわる話、工場の建屋構造に起因した粉塵にまつわる話等、個別の履歴からは思いつかない切り口が浮かぶ場合があります。

 

かって勤務していた工場では、装置冷却水のカルキ分に起因した問題では、こうしたアプローチで解決策に気が付いたりしました。

このように問題点対策の管理表を活用することで、大きな視点に立脚したカイゼン展開が可能となります。

問題点対策の管理表を導入すると、日常的なカイゼンの仕組みができあがります。

 

  • 進捗管理で計画対比の遅れを認識する(=問題を認識する)。
  • 対策管理表で対策のPDCAを廻す。

 

問題の認識と対策という日常的なカイゼンの両輪が廻ります。

また、発生している問題を、発生頻度や原因に注目して分析すると、現場にとって望ましい設備や装置の姿が描きやすくなります。

これは、新たな設備や蔵置を現場へ導入する際に、とても役に立ちます。

 

こうしたトラブルを未然に防ぐ設備仕様にすればイイわけです。

あるいは、イノベーションレベルのアイデアも生まれる可能性もあります。

生産活動は毎日です。

 

日々の生産活動における地道なカイゼンの積み重ねがイノベーションの土台です。

カイゼンの実践を通じて得られた経験が、自然と情報的な経営資源となるからです。

イノベーションを生み出す原動力のひとつになります。

4.お客様を意識させる工夫を必ず現場へ取り入れる

お客様を意識させる工夫を、必ず現場へ取り入れます。

お客様あっての事業であり、会社であることは、経営者の方ならば痛いほど理解されていますが、現場は経営者の方が感じているほどには、お客様の事を実感できません。

進捗管理だ! カイゼンだ!

 

お金を稼ぐ工場運営を実践するのに声を上げますが、これらは全て「ウチ」の話です。

したがって、我々のコトやサービスを買っていただくお客様の顔は、残念ですが、現場ではなかなか浮びません。

モノづくり工場の役割分担上、ある意味ではしょうがないとも考えられます。

 

現場には、一心不乱に良いモノを造ることに焦点当てて知恵を絞ってほしい。

一方で、我々の給料は、結局はお客様からいただくのだ、という当然すぎるこのことを、現場でも常に頭の片隅にはとどめておいてもらいたいとも感じます。

自分が造ったモノを手にするお客様の姿が、思い浮かぶか、浮かばないかで、仕事への魂の入れ方が変わりますから。

 

ですから、お客様を意識するような工夫、仕組みを進捗管理に加えます。

そこで、工場の出口側情報に注目です。

工場の現場、特に上流側の現場では触れる機会が少ない情報です。

 

つまり、その日、お客様へ宛てに出荷する製品と数量、出荷時刻の情報のこと。

これらの出荷情報を現場に見える化します。

お客様には、他企業、小売り、問屋、個人、業種業態でいろいろあります。

 

こうしたお客様別の出荷情報を共有します。

お客様の名前を日々耳にすることより、その姿がおぼろながらでも浮かびます。

そして、自分が手掛けているこの製品を買ってくれるお客さんの顔はイイモノを造ろうという姿勢の後押しをしてくれます。

 

現場のプライドです。

魂の入ったモノづくりができます。

まとめ。

日々の進捗管理で現場の問題点を顕在化させる。

問題の認識と対策の両輪を廻しイノベーションへつなげる。

お客様を意識した魂の入ったモノづくりを実践する。

 

日々の進捗管理をしながらイノベーションの土台となる情報的経営資源を蓄積する。


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)