連載小説『改善提案名人に挑戦!』第5話ヤサシク作戦(4)とらわれるな・ちゃかすな
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第5話ヤサシク作戦
(4)とらわれるな・ちゃかすな
ここで読者に一つ問題を出してみよう。鉛筆とメモ用紙を用意してほしい。
メモ用紙にコップの絵を描いてみよう。
さて、あなたはどんなコップを描いただろうか?多分、ほとんどの人が挿し絵のような絵を描いたと思うが、いかがだろうか。
決してそれが悪いというわけではなく、ただ常識的な人であるということが証明されただけで、心配はご無用。
ところで、これ以外のコップを描いた人はいないだろうか?
へそまがりで描いても良い。
そういう人はヤサシク作戦の達人になる見込みがあると言える。
達人は、たとえばこんな絵を描く。つまり、1つ円を描いただけ。
確かにこれも真上から見たコップだと言えばそのとおりだ。
しかもヤサシクされている!
「なぁんだ、くだらない。なんだかバカにされたみたいっスよ」
とちゃかしてはいけない。
そういうアタマのやわらかさ、先入観にとらわれないものの見方・考え方、これが第二のポイントと言えるだろう。
どうもピンと来ない人には、前の設問をこういうふうに変えてみよう。
100個のコップの絵を描け。
このようにすると、挿し絵のようなコップとただの円とでは、描くための手間と時間がかなり違う。
つまり、ヤサシク作戦による効果がはっきりと現れていることに気付くはずである。
「だから、ヤサシク作戦そのものには手順とか公式みたいなものがなく、ポイントと言っても、はっきりこれがそうだとは言えないんだよ」
「よくわからないけど、わかりました」
「ブレ-ンストーミングっていうアイデア発想法を知っているかな?」
「はぁ、言葉だけは……」
「そうか、それなら今度みんなでやってみようかな。その中に4つの原則というのがある。つまり、『批判禁止』、『自由奔放』、『質より量』、『悪乗り大歓迎』というものなんだ。これはね、改善案を考えるときのコツでもあるんだよ」
「なぁるほど。その原則を使ってヤサシク作戦をやってみるんですね」
「そのとおり。ところで、ナクス・ナガラ・トリカエ・ヤサシクと並べたときには、大事なことが1つある」
「それはなんですか?」
(続く)
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出典:『改善提案名人に挑戦!-だれもがプロジェクトXだった-』面白狩り(おもしろがり)