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連載小説『改善提案名人に挑戦!』第3話ナガラ作戦(6)全体の中の個を見る

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第3話 ナガラ作戦

(6)全体の中の個を見る

kaizen18

改善におけるバランス感覚とは何だろうか?

「よし、ストップウォッチを持って来い。ちょっと作業時間を計ってみよう」

上杉君と武田課長が二人並んでラインの横に立った。

 

「半年前、こうやって二人で見たときは確か12秒で流れていたな」

「そうです」

「いいか、手待ちの時間を除いて1回だけ計ってみろ」

 

先頭の今川さんの作業を見ながらストップウォッチを押した。

「10秒です」

「おお、改善効果が出ているな」

 

「へへへ」

次の北条さんのタイムだ。

「7秒です」

 

「おお、これまた、ずいぶんと短縮したなあ」

同じように、次の伊達さんは9秒……という結果が出た。

「……わかりました、バランスの意味が」

 

各工程の時間にバラツキがあると、工程間に仕掛品がたまったり作業に手待ちが生ずる。

上杉君はここの作業については十分に考えて改善を施したつもりだったろうが、全体のバランスまで頭に入れてなかった。

改善を行う場合には、対象となる物・事だけでなく、関連するところまで考えて全体の中の個を見るという態度が大事である。

 

「つまり、いくら1つの工程の作業時間を短縮しても、他の工程が同じように短縮されていなければ、かえって効率が悪くなってしまうということですね」

「そうだ。最初の提案のときも同じことを話したな」

「あのボツになった提案ですね、そう言えば忘れてました。でも、せっかくここまで短縮したのに、また元のやり方に戻すのももったいない気がするなあ」

 

「それはそうだ。そこでだ。改善の基本その3というのがある。そいつとナガラ作戦を併用してみると、少し見方が変わってくる。織田君に聞いてごらん」

(続く)

 

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出典:『改善提案名人に挑戦!-だれもがプロジェクトXだった-』面白狩り(おもしろがり)


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。