農業はアイデア農業商品で変えられる

農業はアイデア農業商品で変えられる

ハートの形の「いちごころ」

農業従事者は、収入が多くないことや後継者不足等が原因で減少を続けています。

いちご農家も同様で、国内のいちご農家の減少が深刻化しています。

その中で、いちご産業を発展させるため知的財産を使い積極的に取り組むのが山口県にある株式会社クラージュクリエイトの藤弘彰社長です。

 

同社が開発した製品は、いちごをハートの形にした「いちごころ」。

「単一農家が、如何に自立出来るか、いちご農業の発展に貢献できるか。

その答えを、「いちごころ」が出してくれると信じております」と氏は言います。

 

はじめのアイデアは「ハート型のいちごがあると可愛いんじゃない」という会話から始まったそうです。

ただ、ハート型のいちごを作り続けて2年間は試行錯誤を繰り返してもハートの形にはならかったそうです。

いちごの形は収穫時期によっても大きさが変わってきます。

 

もちろん気象の影響も受けます。

そのため、あらゆるデータを取り、諦めず幾度となく改善を施し、4年目に全体の6割が理想のハートの形として収穫出来るようになり製品化にこぎ着けたのです。

「大切な人へ愛、感謝を伝えることのできるいちごを創造すること」を目標として作られた「いちごころ」。

 

ハート型のいちごは考えつくことよりも、そのアイデアを具現化することが難しい。

4年かけて作り上げた商品は簡単には他社が作ることが難しいです。

また、栽培する過程でいちごをハート型にする技術については知的財産権を取得し他社の参入を防御しています。

 

努力の成果には必ず工夫があります。

その工夫を権利化することで、他社が真似できないものが作れるという事例だと感じます。

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「ハートいちご」ではなくて「いちごころ」

名前を初めに考えたときには「ハートいちご」などを考えたそうです。

しかし、商標登録をする場合、商品そのものの形であったりすると一般的な名称であるとして登録ができないことがあります。

一般的な名称であり商標登録ができないということは裏を返すと誰が使ってもいいということになります。

 

せっかくハート型のいちごという特徴のある商品を作ったとしても名前を誰もが使えるとなるとブランド価値を上げるということができません。

そこで、氏は新しく名前を考え始めました。

その時に意識したのは商品名を見て商品をイメージできるということ。

 

商品がいちごであるためいちごは外せません。

そこで「ハート」の呼び方をたくさん抽出して名前を考えたそうです。

「ハート」から連想して「こころ」で「いちごころ」。

 

コンセプトである「大切な人へ愛、感謝を伝えることのできるいちごを創造する」ことも加味した生産者の思いが伝わる名前ができたのです。

「いちごころ」は、商品を広めるためクラウドファンディングのMakuakeに挑戦中とのこと(募集は2016年9月で終了しています)。

いちご農家の新しい挑戦を応援して欲しいとのことです。

 

今後の展開が楽しみな商品でした。

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株式会社クラージュクリエイト
Web: http://www.courage-create.com/

 

出典:『農業はアイデア農業商品で変えられる』開発NEXT


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。