輸送費の重さは深刻|元トヨタマンの目

輸送費の重さは深刻|元トヨタマンの目

重工業は素材や製品が重かったり、大きかったりするから「重工業」という。

当然、港に隣接し、素材や製品を大型船舶で輸送する。

しかし中国は海からの攻撃を警戒して、重工業を内陸の重慶に集中させてしまった。

今になって輸送に非常に困っているそうだ。

 

国土の広いアメリカは、自動車産業はデトロイト、IT産業はシリコンバレー、映画産業はハリウッドなどのように産業別に地域集中がある。

しかし中国は「省」の独立性が非常に強く、アメリカのような産業別地域集中があまりないようだ。

こちらのことでも、輸送に非常に困っているように思う。

 

ひるがえって、韓国を見てみると、国土は狭く、輸送については費用も時間も比較的かからない。

また高い山もなく、国土も非常に有効に使える。

この点、非常に有望でないかと思う。

 

日本については、国土は山また山で使える平地は非常に少なく、周りは海で、ほとんど海沿いの平地にへばりついて暮らしている感じだ。

しかし、そのことが幸いして、どの工業地帯にも港があって、大型船舶を自在に使える。

トヨタも九州、東北、北海道の各工場とは船舶輸送を中心に行っているし、当然海外へも、名古屋港、田原港からどんどん輸出している。

 

昔は国土が大きいことがいいこと、という風に思っていたが、今になってみれば小さい方がメリットがあることもあるなあと感じている。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。