財閥改革は吉か凶か?新大統領就任でどうなる韓国製造業
お隣韓国の大統領が、文在寅(ムン・ジェイン)氏に決まりました。その手腕に注目が集まるなか、製造業関連でいうと、韓国で圧倒的な力を持つ「財閥」の扱いをどうするかが関心の的になっています。
そこで今回は、韓国における財閥と、文政権についてスポットを当ててみましょう。
韓国の主要財閥まとめ
韓国の財閥は2011年には韓国GDPの75%を占めていました。かつては10大財閥と言われましたが、経営難で解体や再編が進んでいます。
三星(サムスン)
韓国財閥第1位。韓国GDPの20%を占めると言われる最大の財閥がサムスングループです。携帯電話や電気製品のサムスン電子、電子部品のサムスン電機、バッテリーやエネルギー関連のサムスンSDIなど、エレクトロニクスに強いのが特徴です。
現代(ヒュンダイ)
かつては大財閥でしたが、経営難によって現在は4つに分離されています。現代峨山、現代商船を中心とした現代グループ、自動車系の現代と起亜で構成される現代-起亜自動車グループ(現在の韓国財閥第2位)、世界トップの造船会社であり、産業用ロボットや重電系を持つ現代重工業グループ、デパートなど小売系の現代百貨店。
現代重工業
上記参照
SK
韓国財閥第3位。エネルギーや通信キャリア(旧韓国通信)を中心とする財閥です
LG
家電のLG電子など
GS
2004年にLGから分離独立した財閥です
ロッテ
サービス業などを中心としています
ハンファ
火薬製造企業である韓火を中心としています。太陽光パネルのハンファQセルズが有名です。
韓進
大韓航空や韓進海運など物流を中心としたグループです
斗山
斗山重工業など重工業系に強い財閥です
新政権はどうする?財閥改革の影響は?
パク・クネ前大統領が財閥との蜜月関係で失脚したのに対し、文新政権では財閥に対して強い姿勢で望むことを選挙時から訴えてきました。
みずほ総合研究所発行の「みずほインサイトアジア」でも、前回の選挙戦でも財閥改革を訴えて戦った文氏の姿勢は変わっていないとし、今回の選挙戦でも、持ち株会社要件の強化や、子会社を所有する際に必要な出資比率の引き上げなどを掲げて戦ったと指摘しています。
文新政権では財閥改革は必至で、実際に人事面でも、
「財閥の狙撃手」「不屈の元女性将校」…文在寅氏のサプライズ人事連発に驚く韓国(産経新聞)
産経新聞は、公正取引委員長の候補に「財閥の狙撃手」と呼ばれる経済学者、金尚祚(キム・サンジョ)氏の就任を伝えています。金氏は財閥に対して強硬派として、財閥改革の最前線に立つと見られています。
とはいえ、財閥改革は停滞する韓国経済の突破口になり、今がチャンスであるという意見がある一方、GDPの大部分を財閥に依存するなかで、改革を急いで経済に混乱を招くべきではないとの慎重な意見もあります。
発足時の支持率が80%を超え、国民からの圧倒的な支持があり、国民の財閥への目が厳しくなるなかで、どんな手を打っていくのか注目が集まります。
参考:産経新聞、「財閥の狙撃手」「不屈の元女性将校」…文在寅氏のサプライズ人事連発に驚く韓国