警告書が来たらどうする!(3)
3.「警告書」の内容を検討しよう!(その1)
それでは、内容証明郵便で送られてきた封筒を開封し、内容の検討を行いましょう…と、その前に、まずは以下の対応をすることをお勧め致します。
内容を検討する前にまずはすべきこと
①コピー機でコピーする。又は、スキャナーやデジカメでデータ化する。
会社などで業務を行う際に、不測の事態というものは如何なる場合でも発生するものです。
また、社内でその書面を取り扱う人はあなただけとは限りません。
大切に書面を取り扱っていたとしても不測の事態というものは、起こるときには起こります。
万が一に備えて、複製をとっておくことは重要です。
また、電子データにしておけば、社内での専門部署への情報展開や、専門家への相談も電子メールなどを同時にできます。
②基本事項の確認
次にあなたがすべきことは、封筒とお手紙(書面)の内容を「正しく把握」することです。
ここでは確認すべきポイントについて説明しておきましょう。
ⅰ.「宛名」、「住所」は正しい内容となっていますか?
ⅱ.「警告を受けている当事者」は誰ですか?
ⅲ.「送り主」(警告をしている人)は誰ですか?
ⅳ.「求められている行動」はなんですか?
ⅰ)「宛名」、「住所」は正しい内容となっていますか?
そもそもの話ではあるのですが、世の中には会社が無数にあります。
そのため、送り主が、送り先を間違えて発送してしまう場合も無いとはいえません。
宛名が間違っている場合、受け取った側は本当に自身に宛られた書面であるのかを判断できませんので、対応を検討できません。
明らかな誤記と分かるものであれば、受け取った側としても対応せざるを得ないこともあると思いますが、基本的に誤って送られてきた書面に対しては、放置することが多いです。
(自身が警告書を送る場合には、宛名や住所の間違いにはくれぐれも注意しましょう。)
ⅱ)「警告を受けている当事者」は誰ですか?
警告を受けている当事者は誰でしょうか?
会社、社長、役員、従業員、どなたになっていますか?
警告書の「宛名」と同じ場合もあります。
概ね会社か社長のいずれか、もしくは、その両方が記載されます。
基本的には、どちらの場合であっても対応が特段変わることはありませんが、警告書の送付者が誰を侵害の当事者と考えているのかを把握することは必要です。
そして、侵害(を疑われる)当事者でないのに、要求に応じる必要はありません。
警告書を受けた件について、自身の側の当事者を正しく認識して、その当事者としての判断を行う必要があります。
ⅲ)「送り主(警告をしている者)」は誰ですか?
送り主は、「権利者の名称(個人・会社)」もしくは、権利者の名称と「代理人(弁護士)」との連名の場合が多いと思います。
しかし、送り主が正当な権利者であるとは限りません。
また、代理人の名前があったとしても、正当な代理人であるとも限らないのです。
対応を検討するにあたっては正当な権利者は誰なのか?を調べる必要がありますので、送り主の名前の確認はとても重要です。
権利を持たない人からの警告は、これもまた対応する必要はないからです。
ⅳ)「求められている行動」はなんと書いてありますか?
予め申し上げておくべきこととして、警告書への対応は、1度で済むものではなく、複数回のやり取りを経て最終的な決着を模索していくものです。
相手側(警告をする側)の要求を一方的に聞き入れる必要はなく、こちら側の事情や主張を説明した上で、相互に折り合いをつけていく、というやり取りを繰り返して最終的な落としどころを模索していきます。
そのためにも、警告書を受け取った時点では、その警告書で「求めている行動が何なのか?」を正確に把握する必要があります。
警告書を送付した人が、自身に対してどのような行動(例えば製造中止なのか金銭の支払いなのか)を求めているのかを把握し、それに対してすべて拒否するのか、又は部分的にもしくは全面的に受け入れるのか、などを検討していきます。
ⅰ)~ⅳ)の項目は、警告書の書面上に記載された情報を基にさらに詳細な調査を行う必要があります。
特に、ⅳ)の項目の判断は、高度な判断が求められます。次回はiv)のポイントについて、もう少し掘り下げて説明することに致しましょう。
出典:『警告書が来たらどうする!(3)』(発明plus〔旧:開発NEXT〕)