警告書が来たらどうする!(2)

警告書が来たらどうする!(2)

2. 「内容証明郵便」って何?

さて、前項で出てきました「内容証明郵便」について簡単に説明しておきましょう。

「内容証明郵便」という仰々しい名前に、騙されてはいけません。

予め申し上げておきます。「内容証明郵便」が届いたからといって、何も慌てることはありません。

 

「内容証明郵便」という名前から、あたかも「とても深刻な内容が書かれた書面」だと思われがちなのですが、「内容証明郵便」というサービスは“書かれている内容の正当性”を証明するものではないのです。

つまり、“なんら根拠のない言いがかり”が内容証明郵便で送られてくることもあるのです。

 

要は、「内容証明郵便」だからと重要だという判断をするのではなく、「一般郵便」であろうが、「メール」であろうが、本来、書かれている内容を確認した上で、「警告書の重要度(リスク)」と「正当な警告内容であるか」を判断しなければなりません。

※ この「警告書の重要度(リスク)」と「正当な警告内容であるか」の判断は、とても慎重に行わなければなりません。素人判断はとても危険ですので、判断に悩んだときには、専門家へ必ず相談してください。

 

さて、簡単ですが「内容証明郵便」というサービスについて説明をしておきましょう。

  • 「内容証明郵便」というサービスについて

これは「①いつ、②誰が(送り主)、②誰宛に(送り先)、④どんな内容のお手紙を送ったのか」ということを“第3者である郵便局が証明してくれる”というサービスとなります。

 

警告書を送る相手は、あなたの家族でもなければお友達でもありません。

「全ての人が正直に手紙を受け取った。」と認めてくれるとは限りません。

また、「警告書」と送られた側にしてみてば、“都合の悪いお手紙”であり、「手紙が届いたこと自体をなかったことにしたい」という感情は、至って普通のことなのです。

そのため「警告書」を送ったとしても相手が素直に受け取ってくれるとは限りません。

そんな相手に、確実に手紙を届けてくれ、手紙を相手が受け取ったことを証明してくれるサービスが「内容証明郵便」というサービスになります。

 

※ 蛇足ではありますが、「郵便事業の民営化」の前の時代、「郵便」というものは行政が行ってくれるサービスでした。つまり、この「内容証明郵便」というものも、その昔は「行政が行ってくれる公的なサービス」であったわけです。そのため、「お役所から届いた警告書」と勘違いして深刻に受け止めてしまうのだと思います。(警告書を送る側にしてみれば、“この心理的な勘違い”に期待し、積極的に活用しているとも言えるサービスだとも言えそうです。)

さて、次は「警告書」の内容についての分析を始めましょう。

出典:『警告書が来たらどうする!(2)』(発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。