誰にも聞けない「セル生産」:なぜ生産性向上が実現できたのですか?

誰にも聞けない「セル生産」:なぜ生産性向上が実現できたのですか?

誰にも聞けない「セル生産」

なぜ生産性向上が実現できたのですか?

「セル生産方式」は、多品種少量生産を実現するために、考えられた方式です。

多くの品種を、製品在庫を最小にしながら生産する方式なのです。しかし、一人あたりの生産性が向上しただけでなく、品質も向上したのです。なぜ、品質が向上したのでしょうか?

「ゼロ・ディフェクト」といいますが、不良を生産しないラインも登場したのです。

 

セル生産方式でゼロ・ディフェクトを目指したのではありません。セル生産方式を進めていったら、その結果、ゼロ・ディフェクトラインができたのです。

後から、どうしてできたのか、要因を考えてみました。3点の要因が考えられました。

1点目は、製品1台あたりの不良率の重みの違いです。大量生産のラインは、多くの不良が発生します。

 

すると、不良に対しての感度が鈍っていたのです。

それが、少なく生産するするので、1台の不良が発生しても、いきなり%オーダーの不良率になってしまうのです。

2点目は、不良の発生原因が明確になったことです。

 

つまり、誰が不良を作ったのか、一目瞭然になったということです。

コンベアラインでは、何十人もの作業者がいるので、誰の責任なのか分かりにくいことが多かったのです。

例えば3人で生産すると、誰が不良を作ったのか、一発でわかります。

 

特に一人屋台生産だと、「私」に決まってしまいます。

かつてのセル生産ラインを見ていた時、後工程の人が前工程の人に「ここが不良よ」と返しているのを見かけました。

こうして、不良に対する感度が、極めて高くなったのです。

 

3つ目は、作業のメリハリがつけれるようになったということです。

コンベアラインの作業には、難しい作業も簡単な作業も、同じ時間で行う必要がありました。しかし、セル生産方式では、多能工が複数の作業を行うようになりました。

そのため、難しい作業はゆっくりと、簡単な作業はさっと行うことができるようになったのです。

 

複数の作業の合計が、サイクルタイム以内であれば良いからです。

作業を見ていると、実に上手く難しい作業を丁寧に行う作業者がおられました。

こうして、セル生産方式はゼロ・ディフェクトを実現する、高い品資質のラインになったのです。

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出典:『あなた一人で手抜きでできる 楽々改善』楽々改善舎


現場改善コーチ。楽々改善舎代表 ◎1958年大阪府生まれ。同志社大学工学部電子工学科卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック)に入社。34年の勤務の後、2015年に定年退職。◎前半17年間は、生産技術として社内用生産設備の制御・計測機器の設計を担当。後半17年間は、社内の生産工場の生産革新・生産性向上プロジェクトの支援を担当。現場改善を推進する。同時に、IE(インダストリアルエンジニアリング)トレーナーとして現場メンバーにIE改善の訓練を行う。社内のIEトレーナー養成研修を担当し、IEトレーナーを育成。社内のIE認定部会の副主査を10年間担当。◎1995年、衛生工学衛生管理者試験合格。2011年、技術士(経営工学)ニ次試験合格。2015年、栃木県足利市の5Sインストラクター研修修了。◎2015年、楽々改善を提唱し、「楽々改善舎」を大阪にて発足。楽々改善のサポート、5S改善を推進できる人材の育成、Webによる現場改善の情報発信、電子出版をノマドワークで推進している。◎楽々改善 http://r2k.link/raku.html