読取率と誤読率の改善方法
概要
読取信頼性は、読取率と誤読率で表現される。
読取率は、バーコードをスキャンする回数に対して読み取ることができた回数で計算され、100回のスキャンで99回の読取ができた場合は、読取率は99%になる。
一方、誤読率は、読取回数に対して間違って読み取った回数で計算され、100万文字に対して1文字の誤読があった場合は、誤読率は、100万分の1となる。
バーコードは、高い読取率と低い誤読率が特長であるが、過信すると読取率と誤読率で思わぬ失敗をすることがある。
したがって、読取率を高め、誤読率を下げるための努力を怠ってはならない。
読取率を決める要因
読取率は、バーコードラベルの品質、バーコードリーダの分解能、スキャン回数、アナログデジダル変換回路、そして、デーコーディングアルゴリズムによって決まる。
これらの中でもバーコードラベルの品質が、最も読取率に影響する。
もし、バーコードラベルに汚れや傷がなく、エレメントエッジがフラットで、しかも、エレメント幅の偏差が規格内にあり、更に十分なコントラストが取れていれば、どんなリーダでも100%近い読取率が確保できるからである。
しかし、現実に使用されているバーコードラベルの品質は、あまり良くない。
それでもユーザは、高い読取率を要求するので、リーダメーカは、常に読取率向上のための工夫を行っている。
読取率を向上させる方法
読取率とは、何回のスキャンで読み取りができるかの確立を意味している。
しかし、このスキャン回数は、ペンスキャナの場合とCCDスキャナやレーザスキャナの場合とでは、少々異なっている。
ペンスキャナの読取率20%は、5回のスキャンに1回の割合で読み取ると言うことで、この読取率では誰も使用しない。
ところが、同じ5回のスキャンに1回の割合で読み取るレーザスキャナでは、走査速度が50スキャン/秒であれば、僅か0.1秒で読み取ることになり、このスキャナは、読取率が良いスキャナと言われることになる。
このように、走査速度が高いスキャナでは、一回のスキャンの読取率が低くとも総合的な読取率は高くなるので、CCDスキャナやレーザスキャナの読取率が高いのは、走査速度が高いからである。
しかし、走査速度を幾ら高くしても、結果的に読めないことがある。
これは、バーコードシンボルの品質が極めて悪く、ファーストリードレート(FRR)が10%以下の場合である。
ファーストリードレートとは、最初のスキャンで読み取れる確立で、これが低いと、何度スキャンしても完全な読み取りには到らないのである。
誤読の要因
バーコードは、OCRに比べ誤読が非常に少ないことが特長であるが、全く誤読が無い訳ではない。
誤読が発生すると、正確な情報管理ができないことになり、工場では、事故に繋がることもある。
したがって、誤読は最小限にしなければならない。
バーコードシステムにおいて誤読が発生した原因を調査すると、ラベルに起因するもの、操作ミスに起因するもの、リーダに起因するもの、データ転送に起因するものがある。
この中でハードウェアに起因するものはリーダと転送ミスで、全体の約1/3程度と比較的少ない。
したがって、運用面の比重が高いことに留意していただきたい。そして、原因は一つではないことも留意して頂きたい。
ラベルに起因する誤読
誤読の原因の約50%はラベルの品質に起因すると言われている。
これは、逆にラベルの管理を正しく行っていれば、誤読は半分以下になると言うことである。
一言でラベルの品質問題と言っても、その原因には、ラベルの問題と運用上の問題がある。
ラベルの問題としては、「リーダの性能を越える細バー幅または細スペース幅である」。
「バーエレメント比が規格の1:2.2以上になってない」。
「クワイエットゾーンが規格より狭い」などがある。
また、運用上の問題としては、「プリンタの調整が悪くボイドやスポット、カスレが多い」。
「インクリボンが古くて、PCS値が低くなっている」。
「紙とリボンの選択が悪くてバーコードが滲んだり、カスレたりしている」。
「ラベルを貼る場所が悪いため、傷や汚れが付き易い」。
「厳しい環境に対応したラベルの保護がされていない」などがある。
操作ミスに起因する誤読
操作ミスによる誤読は、システム上の問題か運用上の問題である。
作業者やオペレータは、何時もマニュアルどおり操作するとは限らない。
例えば、商品コードを読み取る時に間違って注文番号を読み取ってしまったり、キーボードから数量を入力すべきところを、商品バーコードを読み取ってしまったりすることがある。
このようなミスを出来る限り少なくするために作業者やオペレータを指導することが重要である。
しかし、できれば、このような間違った操作をしたとき、システム的に入力できなくしたり、警告を表示するようなシステムにしておきたい。
例えば、製品番号や注文番号、生産指示書番号、ロット番号、社員番号等をコード化する時、桁数を変えたり、識別コードを頭に付けたりして、何のデータかシステム的に分かるようにしておくと良い。
リーダによる誤読
リーダ自身が誤読を発生し易かったり、故障により誤読が発生したりすることがある。
リーダの読取性能において、細バーと太バーの判定を甘くすると読取率が向上するが、誤読の確立も高くなる。
したがって、バーコードリーダメーカは、どの位この判定を厳しくするかがノウハウとなっている。
しかし、現在では、この部分のメーカの差は極めて少ない。
したがって、リーダの誤読を少なくするためには、メーカを選ぶよりチェックデジットをバーコードに入れた方が確実である。
データの転送ミスによる誤読
データの転送ミスは、コンピュータシステムは、常にその可能性を持っている。
データ転送中に静電気や磁界に変化、ノイズによってデータが化けることがあるからである。
LANでは、様々なデータチェック機能によりこのような転送ミスを発見し、再送する機能を持っているので信頼性は高い。
しかし、RS232CやRS485等のインターフェースでは、高度なデータチェック機能がないので、チッェクデジットを使用することが望ましい。