規格緩和で隠れていた不良が顕在化!?
冷却用のフィンを加工している会社での話だ。この会社では異形に押し出されたバー材を切断してから、穴あけ、タップ切りなどを行い、それらの加工位置や傷などの外観を検査して出荷している。
形状の違いによりいくつもの機種がある。その中でも特殊な形状をしているものではこの会社、顧客とも不良の多さに苦労していた。特殊な形状故に求められる平面度が出せないでいた。
ひどい時は50%超が不良となっていた。この平面度は加工で悪くなるのではなく、バー材の時点で既に要求規格を満足できないものであった。
バー材での不良は顧客の責任なので、顧客はこれに頭を抱えていた。一方、加工するこの会社でも切断したのちに平面度の検査をしているので、そこで不良になったものは納品できないという問題を抱えていた。
この平面度の規格は顧客が決めたものではなく、そのさらに上の顧客の規格なので簡単に変更することができない。それでこの2社は苦労をしていた。
今日のポイント
加工している会社ではさらに、特殊形状なので切断するときに傷が付きやすいという問題も抱えていた。その対策としてバー材にテープを貼ってから切断、その後テープを剥がすという作業を行っていた。
とても手間のかかる作業なので、当然何とかしたいと思っていたところ、切断の作業者のある工夫でテープを貼らずに切断できるようになった。切断による傷の発生がテープを貼ったものと変わらなくなったのだ。この作業者は改善提案賞をもらった。
あるとき顧客の努力により上の顧客の承認を得て、この平面度の規格が緩和されることになった。これは2社にとって朗報である。
ところが、平面度の規格が緩和されたことにより、今まで平面度でNGとされていたもののほとんどがOKとなった。すると今度は傷不良が増えたと品管が現場にクレームを付けた。切断工程で何かやらかしたのではないかと。
これに現場スタッフが噛みついた。自分たちは何もしていない。普段通りの作業をしていると。
傷が付いていてもいなくても今までなら平面度でNGとなっていた訳だ。それが合格となるので、傷不良に焦点が当たった。不良率はどうなのか。傷の内容はどうなのか。
補足
ちょっと考えてみると現場の言うことはおかしい。平面度不良が半分出ていたとしても、出荷数は確保しなくてはならないので、所定の平面度合格品を検査している。規格が緩和されても平面度合格品の検査数量は変わらないはずだ。
傷の発生率が同じだとしたら、規格が緩和されたことによって傷の不良数が増えることはない。
品管も現場も冷静に事実を確認する必要があるようだ。