製造業のウマミ|元トヨタマンの目

製造業のウマミ|元トヨタマンの目

高校の同級生で、京都大学経済学部を卒業し、三菱商事に入社したK君が、若い頃言っていた。

「三菱商事だからカッコいいと思って入ったが、商社なんて実に厳しい。仕入れる場合はメーカーさんに頭を下げてなるべく安く仕入れさせてもらい。売る時も当然頭を下げてお客様に買ってもらう。頭は下げっぱなしなんだ」

自らものづくりをする製造業はその点、実に有利だ。

 

例えば自動車の場合、販売価格には世間相場がある。

各自動車メーカーから販売される同じようなグレードの車は、大体同じような販売価格になる。

しかしその原価はといったら、各車によってまちまちであろう。

 

ということは原価は下げようと思えばどこまでも下げることができるのだ。

商社の場合は、頭を物理的に下げて仕入原価を下げるしかないが、メーカーの場合は頭の中身の脳ミソを使って原価を下げることができる。

どれだけ原価を下げているかは、自動車各社の企業利益や株価で判断できる。また原価低減で儲けたお金は、研究開発などへ積極的に投資されさらに企業間格差が大きくなる。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。