蓄積データは活かせていますか? ~日報データ~
こんにちは。テクノアの間野です。今回は日々蓄積しているデータの活用方法についてお話しいたします。
システム導入しているかどうかに関わらず、日々の業務の中で、伝票やExcelの表など、様々なデータが蓄積されていきます。その蓄積しているデータは、有効に活用されているでしょうか?
今回は、それらのデータの中でも、「日報データ」について取り上げます。
私は日々、様々な個別受注型の中小製造業様を訪問いたします。最初は現状の業務ヒアリングをいたしますが、その中で日報データの活用についても確認いたします。
過去に、日報データは収集しているものの、収集しているだけで誰も見ていない、どこにも反映されていない、といった状態が、ヒアリングで明らかになったこともあります。事情はいろいろありますが、活用しないデータであれば、データ収集はやめた方がいいです。
当然ながら、データを収集するのにもそれだけの手間や工数がかかります。収集する以上は、収集したデータは活用すべきですので、具体的に日報データをどのように活用すればよいのか事例を交えて紹介いたします。
STEP1 工数を工数原価に変換
賃率、チャージレートなど様々な言い方がありますが、作業の時間単価を設定し、工数原価を計算(工数×時間単価=工数原価)します。
個別受注型製造業様の場合、物件ごとに原価を把握して、採算管理をすることはとても重要です。
時間単価は当月の実際の労務費や間接費を反映した単価を設定する方法もありますが、月を締めてから原価把握するのではなく、リアルタイムに原価を把握し、対策を打てるようにするためには、みなし単価を設定しておく方法が有効です。
STEP2 工数分析
次に、蓄積されたデータを使った分析をいくつか紹介いたします。
状況把握
直接工数(物件に関わる工数)と間接工数(掃除や朝礼など物件に関わらない工数)の比率は適正か?
直接工数比率が下がってきている場合、原因追及し、状況に応じて対策を打つ必要があります。まずは、自社として適正な直接工数比率を設定しましょう。
異常検出
売上後に発生する工数が多くかかっていないか?
売上後の工数は売上時に把握した利益を徐々に減額していきます。結果として、売上時に出ていた利益をすべて食いつぶし、赤字に転落してしまうこともありえます。
想定以上に売上後の工数がかかっている場合は、納品物自体の品質に問題があった可能性が高く、原因究明して同じことを繰り返さないようにする必要があります。
個人評価
想定標準時間と比較してどうだったか?
想定標準時間より短くできたのか、仕損などにより長く時間がかかってしまったのかを見ることで、個人評価につなげることが可能です。
また、作業時間が実際に評価につながることがわかると、担当者に工数を短くしようとする意識が働き、結果的に原価低減へとつながる効果もあります。
STEP3 見積への展開
最後は、引合案件の工数積算に役立てます。工数積算をする際に、過去の類似案件の実績工数をもとに積算をすることで、積算精度を高めます。
工数実績は、細かい単位で収集されていると、工数積算時にはより使えるデータとなります。物件単位の工数だけでなく、ユニット単位工数、部品単位加工工数など細かい単位で工数実績を登録することで、積算時に参照しやすくなります。
さらに、仕損による再加工工数などは分けて工数収集されていると、より精度の高い積算が可能となります。
同じ手間をかけて日報データを収集するのであれば、収集したデータはフル活用して、そこから改善へつなげていきましょう。