若手技術者に指導する際は、言葉だけでなく《活字》でも伝える
若手技術者の育成においては、対面による「口頭指導」だけではなく、その内容が書かれた活字を同時に理解させることが重要です。
過去の育成での失敗事例
過去の育成で大きな失敗をしたことがあります。
部下たちへの指示内容
ある部品の量産を立ち上げる際に、
「一個あたり、この価格で作れるよう工程を考えてくれ」
と部下たちに指示しました。当時の新規事業の部品製作ライン設計をしている時でした。
そのとき、メンバーにいたのは20代半ばから30代前半の若手~中堅。
開発最前線での活躍とその成果を挙げたことが無かったため実戦経験は乏しかったものの、新しい事業開発の最前線に立てたということで全員モチベーションが高い状態でした。
全員がわからないなりに全力でやっているように映り、とても頼もしく見えたことを覚えています。
欠けていたもの
ところが、数週間後に上がってきた工程表と製造ライン案を見て愕然とします。
製造価格を最重要視するあまり、設計思想で最も大切なことである、
「お客様に対する安全性」
を軽視した工程設計を行っていたのです。
当時、かなり細かく指示したので大丈夫だと思っていたのですが、口頭のみの指示だった故、その言葉の裏にある「安全性」という絶対的な最重要概念が、当時の工程設計メンバー全員になかったのです。
“伝える”際のポイント
このとき痛感したのは、口頭で伝えたことは、その言葉の上面しか伝えられていないということ。
ここはわかっていて当然、という基礎思想については、きちんと伝わってなかったのです。
その後気を付けたことは、口頭に加え、活字で指示を出すという事でした。
活字を指示手法として併用する動機としては、
■活字であれば、後から確認できる。つまり、記憶の不確かさによる情報の欠落を防げる。
■あらかじめ活字で指示事項をまとめておけば、口頭で指示するときに抜けもれなく指示することができる。
といったメリットを感じたからです。
指示する際には口頭に加えて活字を活用する。
是非、実践してみてください。