背番号|元トヨタマンの目
工業製品を製作する場合、非常に多くの部品を必要とする。
それらすべての部品にはそれぞれ品番というナンバーが付与されている。
そのナンバーの数字の意味は、設計部の方の都合でルール付けされる。
工場の現場や生産管理の立場としては、品番は桁数が多くて覚えきれない。
そこで部品発注のニーズのみで、ニックネームをつけることを考えた。
工場にはいくつもの、部品受け入れの基地がある。
その基地単位で部品メーカーごとに連番を付与することにした。
田原工場 N1部品受入 デンソー 背番号1 品番23456-99876-00
田原工場 N1部品受入 デンソー 背番号2 品番21346-33421-01
田原工場 N1部品受入 デンソー 背番号3 品番11152-92676-00
田原工場 N1部品受入 デンソー 背番号4 品番21333-33112-01
田原工場 N1部品受入 アイシン 背番号1 品番11231-33423-00
田原工場 N1部品受入 アイシン 背番号2 品番66645-11421-01
田原工場 N1部品受入 アイシン 背番号3 品番33422-32146-00
田原工場 N1部品受入 アイシン 背番号4 品番21111-11912-01
トヨタ現場……トヨタ生産管理……デンソー生産管理の間では「田原 N1 背番号3」と言い合うだけで、該当製品は特定できてしまう。
河北省のこの会社では、まだ品番で部品発注業務をやりとりしていた。
早急にトヨタ式背番号の導入を行ないたい。
P.S.
はじめのころはこの略番をかんばんの裏側につけていたため「背番号」と表現したそうだ。
大野耐一氏は当初この背番号を許可してくれなかったそうだ。
「現場は品番を覚えて一人前だ」という感じだった。
しかし部下達の必死の説得でなんとか許可してくれたとのこと。
神様を説得したのだからたいしたものだ。
この話は私が担当者の頃の課長から聞いた。