繭も工場で作る時代へ。世界唯一の周年無菌養蚕工場が熊本で稼働
伊藤忠ファッションシステムとあつまるホールディングスは、世界唯一の周年無菌養蚕工場『ニューシルクプロジェクト山鹿工場(NSP山鹿工場)』を5月末日から本格稼働させた。
■NSP山鹿工場概要
『SILK on VALLEY YAMAGA』プロジェクトの拠点として、繭の形をイメージしたR形状のやわらかさと、中山間地域の風景に溶け込み、緑の景観に映えるよう、いぶし銀のカラーリングを施し親しみの持てる外観にデザイン。工場内部は、クラス10000のクリーンレベルと、温度・湿度管理を徹底することにより、高品質で安定した繭の生産を可能にしている。
繭の生産室では、そのクリーンレベル維持のため閉鎖的な空間となるが、職員の休憩時には外部の風景が見渡せる開放的な空間を設け、職員の労働環境にも配慮した最先端工場を目指している。
建設場所 :旧広見小学校跡地(鹿北町芋生)
建設期間 :2016年7月27日〜2017年4月26日
竣工日 :2017年4月27日
敷地面積 :13,732平方メートル
建築面積 :4,174平方メートル(1,260坪)
鉄骨造・平屋建総工費:約23億円
年間総生産想定量 :50トン
稼働開始に先立ち、2017年5月15日に祝賀会を実施。蒲島 郁夫熊本県知事の氏を始め、熊本県内外から650人超が来場した。
祝賀会では、現代美術家でありマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教、デザイン・フィクション研究室主宰のSputniko!(スプツニ子!)氏と、遺伝子組換えシルクの第一人者である、農研機構 生物機能利用研究部門ユニット長及び東京大学大学院新領域創成科学研究科客員教授の瀬筒 秀樹氏による『未来のシルクと、シルクの未来』と題したトークセッションを実施。
近年注目が集まる、遺伝子組換えを始めとした新たなシルクの種類やその用途、今後の開発の可能性などについて、瀬筒氏が紹介。さらに「トランスフローラ、エイミの光るシルク」(2015年 GUCCIギャラリー)や「運命の赤い糸をつむぐ蚕-タマキの恋」(瀬戸内国際芸術祭2016 常設施設 豊島八百万ラボ)等の作品で遺伝子組換えを用いた光るシルクを使用しているスプツニ子!氏から、アートを切り口とした新たな用途と可能性を提示した。
参考:あつまるホールディングス
参考:伊藤忠ファッションシステム