縫製工場の規則を労働局に提出します。| ラオス縫製工場の日常

縫製工場の規則を労働局に提出します。| ラオス縫製工場の日常

※当コンテンツはCBC Laoの提供でお届けいたします。

 

ラオスでは、工場規則を作成し、2年おきにビエンチャン特別市労働局に提出し、許可をもらうことが必要です。そこには、残業代の規定や、産前産後休暇のことをしっかり記載されています。ラオスの労働法に基づいて作成されているので、どこの縫製工場でもほとんど同じ内容ですが、ラオスでは、どこの縫製工場もしっかり工場規則に基づいて縫製工場が運営されているように感じます(全部を知っている訳ではありませんが)。

ときどき、海外の縫製工場では残業代が払われないなどのニュースが流れることがありますが、そんなことはもちろんありません。全額しっかり支払われます。ラオスは、欧米系のブランドさんの縫製工場が多く、また欧米系のブランドさんは、縫製工場が職員の「人権」に配慮していることを求められます。また、CBC Laoに関していえば、職員が一人ひとりが気持ちよく働くことができてこそ、よい商品を縫製することができるという方針にたって工場が運営されています。
 
なかなか良いイメージを持たれることの少ない海外の縫製工場ですが、しっかり人権に配慮され、法律に則って運営されています。

さて、縫製工場の工場規則は、全部で30条あり、採用の書類から、残業、有給休暇、病休、職員代表選出にまでいろいろなことが規定されています。少し長いですが、是非参考にご覧になってください。(そのためCBC Laoとは関係のない出来高払い等についても書かれていますが、この部分は省略させていただきました。)

 

第1条 職員の採用について

  • 14歳以上の男女で、次の書類が揃っていること。
    (必要書類)労働契約書、志望書、住民票、履歴書、IDカードのコピー、健康診断書、卒業証明書、他の工場から移ってくる場合にはその許可証、写真

※(私の補足):ラオスの法律上は14歳以上になっていますが、CBC Laoで働いている職員は皆17歳以上です。どこの工場も同じ様式で作っているため14歳以上になっています。

 

第2条 試用期間について

  • 経験者は30日間
  • 未経験者は60日間。給与は、90%とする。

 

第3条 労働時間と休憩時間

  • 標準労働日:月曜から土曜まで
  • 労働時間:(午前)8:00-12:00 (午後)13:00-17:00
  • 休憩時間:12:00-13:00
  • 2時間おきに5分間の休憩をとることとする。

 

第4条 休日について

  • 政府が定める休日及びお祭りの日
  • 毎週の休日:日曜日
  • 政府が定める休日とお祭りの日
  • 元旦、建国記念日、女性の日、ラオス正月、安居入りの日、土地にご飯を供え讚える日、くじ引きでご飯を選んでいただく日、安居明けの日、ボート祭り、労働者の日、大晦日、タートルアン祭り

  • 外国人労働者はその国の建国記念日に1日休むことができる。各民族のその民族のお祭りの日に1日や休むことができる。政府の定める休日及びお祭りの日が、日曜の場合には、平日に振替休日を取るか、その分の給与を払うこととする。

 

第5条 有給休暇について
1年以上働いた後には、仕事の状態に応じて15日から18日の有給休暇を得ることができる。使用者は、事前に有給休暇の日数を伝えなければならない。

 

第6条 産前産後休暇について
産前産後休暇の日数は90日とし、社会保険庁から給与全額が払われ、月々の給与から計算をして、政府の定める最低給与の60%以上の出産手当てが払われることとする。双子以上の場合には、その手当は50%以上増しとなる。子どもが1歳未満のときには、1日1時間、子どもの世話をする休憩時間を得ることができる。流産した女性も、出産した女性と同様に、医師の診断書に基づき同様の手当を得ることができる。

 

第7条 傷病休暇について
90日以上勤務後は、医師の診断書を提出することにより、年間30日まで有給の病休を取得することができる。

 

第8条 傷病手当について

  • 使用者は、病院からの診断書を提出により、傷病手当を払わなければならない。
  • 死亡時には、使用者は、葬式時に「助け」、6ヶ月分の給与額以上の死亡手当を払わなければならない。

※(私の補足)「助け」とは、葬式のときには工場の車を貸し出したり、職員を手伝いにだしたりすることなど。

 

第9条 勤務中の怪我による休暇について
就業中の怪我の場合には、使用者あるいは社会保険庁は、医師の診断書に基づき、治療費の全額を負担しなければならない。負傷者は、医師の診断に基づく傷病期間および回復期間の間、6ヶ月まで給与の全額を得る権利が、18ヶ月までは給与の50%を得る権利がある。その他、使用者は、それぞれの期間のおいて、政府が定める法規則に添って方策をとる責任がある。

 

第10条 職員の死亡について
使用者は、職員の死亡時には6ヶ月分以上の給与を支払わなければならない。これに加え、遺族は、死亡見舞金を、次の規定に基づき一度受け取ることができる。

  • 修業期間が3年未満の場合には、6ヶ月の分の給与と同等の額
  • 修業期間が3年以上10年未満の場合には、8ヶ月の分の給与と同等の額
  • 修業期間が10年以上20年未満の場合には、12ヶ月の分の給与と同等の額
  • 修業期間が20年未満の場合には、15ヶ月の分の給与と同等の額

☆社会保険に加入している場合には、6条〜10条の手当は、社会保険庁の規則に支払われる。その金額を超える部分については、使用者が責任を負う。

 

第11条 欠勤について

  • 欠勤する場合には、工場長から許可を得なければならない。但し、緊急を要し、連絡が困難な場合は除く。許可は得ない欠勤は規則違反である。また、許可を得ずに欠勤することが続けば、有給や病休等の規定が適用されることになる。欠勤する場合には、復職する日を事務職員に伝えなければならない。
  • 理由もなく欠席した場合には、給与の額に基づき、減給される。

 

第12条 給与について

  • 月々の最低給与は900,000kipとする。この他に、1日あたりの日当を8,500kipとする。
  • 月々の最高給与は2,100,000kipとする。
  • 給与は、雇用契約時に決定しなければならない。

※(私の補足):最低給与等について、一般職員の給与や昇給はラオス縫製業組合で決められており、その枠組みで給与の額を決めています。

 

第13条 給与の支払い条件について

  • 労働時間による

 

第14条 給与の支払日について
月に1度支払われる。その月の30日から、次の月の5日までを支給日とする。

 

第15条 昇給について
職員は、給与の規定に基づき、1年毎に、労働契約書に基づき基本給の5〜10%昇給することとする。
☆勤労態度が良好な職員は、工場長などの要請に基づき退職金を得ることができる。

 

第16条 減給について
規則に違反した場合、上司の指示に違反した場合、与えらえた仕事への責任感が欠如している場合、注意に後に工場の道具や設備に対して責任がなかった場合
☆16条1項 工場の道具や設備に対する責任

  • 職員は、仕事のために与えれた工場の道具や設備を適切に維持管理しなければならない。
  • 道具をきちんと片付けなければならない。

 

第17条 残業手当、休日手当について
第1項 就業規則
工場は、職員と工場との合意により、必要に応じて、職員に残業を頼むことができる。但し、1ヶ月あたり30時間を越えないものとする。もし使用者が45時間以上残業をしたい場合には、使用者は労働局に特別な許可を得なければならない。職員は残業できない場合には、24以上前に前もって伝えなければならない。

第2項 残業代について
月曜から土曜日の17:00- 20:00:給与を時給換算した場合の150% 
月曜から土曜日の20:00以降:給与を時給換算した場合の200%
日曜及び祝日の08:00- 20:00:給与を時給換算した場合の250%
日曜及び祝日の20:00以降:給与を時給換算した場合の300%

 

第18条 一時休業の場合の給与の支払いについて
資材不足、停電、あるいはなんらかの事情等で、職員が一時的に休業を命ぜられた場合には、使用者はそれぞれの職員に政府が定める最低給与の50%以上の手当を払わなければならない。

 

第19条 給与を得る特別な権利について
工場が倒産したり、裁判所からすべての資産を取り上げる命令を出された場合には、職員は、月給、退職金、その他の手当を、借入金等の返済よりも前に、得る権利がある。

 

第20条 休暇と退職について
個人的な理由で短期及び長期休暇を取得した職員は、指定の休暇届けに記入後、2日前までに工場長に提出することとする。工場長は、許可を与え、休暇日数を決定する。

 

第21条 雇用契約の解除について
使用者は、次の場合には、解雇手当を支払う。

  • 職員が、専門技能を書いているとき。
  • 職員が、健康状態が良くなく、仕事を続けるのが難しい場合、あるいは使用者がどうしても職員を減らす必要があるとき。

これらの場合には、45日以上に前に職員に通知し、退職する職員に次の解雇手当を支払わなければならない。

  • 就労期間が3年未満の場合には、給与の10%に勤務年数をかけた金額
  • 就労期間が3年以上の場合には、給与の15%に勤務年数をかけた金額

 

第22条 正当な理由がない場合の雇用契約の解除について
使用者が、直接的にも間接的にも十分な理由なく職員との労働契約を解除する場合には、使用者は、契約解除する職員に喜んで次の解雇手当を払わなければならない。

  • 就労期間が3年未満の場合には、給与の15%に勤務年数をかけた金額
  • 就労期間が3年以上の場合には、給与の20%に勤務年数をかけた金額

 

第23条 職員の不正等による雇用契約の解除について
使用者は、職員が下記の不正を行った場合には、解雇手当を支払わずに、労働契約を解除することができる。

  • 職務に対して不正直であったり、紛失等を故意に行った場合。但し、公正な証拠に基づかなければならない。
  • 使用者の注意後にも変わらずに、規則等をおかしている場合
  • 理由もなく、4日連続欠勤した場合
  • 裁判所が懲役等などを課した場合

 

第24条 禁止行為のついて

  • 工場管理者に通知せずに、長時間仕事場所を離れることを禁止する。
  • 工場内に、工場外の仕事を持ち込むこと、個人的な仕事をすることを禁止する。
  • 外部の物を工場内に入れることは絶対に禁止する。
  • 工場の道具や所有物や、職員の所有物が紛失した場合には、工場管理者が取り調べたり、検査したりする権利を有する。証拠がえられた場合には、その職員が、紛失の責任を負い、補償をし、法律に基づく責任を負う者とする。

 

第25条 不正を行ったものに者に対する処遇について
この工場規則に違反したり、実行しなかった職員は、軽重に応じて、下記の処罰をうけるものとする。

  • 口頭注意
  • 文書による注意
  • 停職処分
  • 減給処分
  • 懲戒解雇

 

第26条 職員への安全配慮について

  • 消防訓練を行い、消化器を13台設置する。
  • 生地やその他の空気中のほこりを防ぐ手当をたてる。
  • 飲料水を設置する。
  • 非常口を3箇所設置する。火事のときににげるために、大きな扉が1箇所、小さな扉が2箇所。

 

第27条 職員代表の選出について

  • 使用者は、適切に、職員に職員代表を選ばせなければならない。
  • 選出された職員は、代表者として工場との揉め事の解消に努める。
  • 選出されれた職員代表は、職員に告知するものとする。任期は、この規則にあらかじめ定められた規則によるものとする。

 

第28条 揉め事がおきた場合について

  • 工場内で揉め事がおきた場合には、まずは工場内で解決を試みることとする。
  • 職員同士の揉め事の場合には、工場長と話し合い、調停するものとする。
  • 工場と職員の間で揉め事が起こり調停することができない場合には、問題の解決を法律に基づき関係する政府機関の職員に委ねられる。

 

第29条 報告について
毎月21日から23日に、影響や状況、将来の労働に必要となる計画や依頼などを、郡労働局に報告しなければならない。

 

第30条 工場内の規則について
これらの規則は、ビエンチャン特別市労働局の署名後、実行されるものとする。

 

出典:海外ラオスにある小ロットを得意とする縫製工場


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。