産総研、世界最小振動レベルを用いた人工衛星向け高感度振動センサー校正システムを開発
この記事の内容をまとめると…
- 世界最小の振動レベルを用いた振動センサー校正システムを開発
- 人工衛星搭載用高感度振動センサーの正確さを担保
- 技術試験衛星9号機に本システムで校正されたセンサーを搭載
人工衛星搭載用の高感度振動センサーの精密な校正を可能にするシステムを、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)が開発した。世界最小となる振幅1.4ピコメートルの振動レベルを用い、衛星搭載機器の確実な運用に貢献する。本システムで校正されたセンサーは、開発中の技術試験衛星9号機(ETS-9)に搭載されている。
振動センサー校正システム詳細
産総研分析計測標準研究部門音波振動標準研究グループは、極めて微小な振動レベル(最小1.4ピコメートル)を用いて高感度振動センサーを校正するシステムを開発した。フィッティング演算技術や計測位置自動調整機構の導入により、ノイズの影響を低減し、技術開発により、振動周波数 5 Hz~6.3 kHz の範囲において、目標である 0.01 m/s2を下回る微小な振動レベルでの校正ができるようになった。本システムは、三菱電機株式会社の依頼に基づき、技術試験衛星9号機(ETS-9)搭載用振動センサーの校正にも活用されている。校正されたセンサーは、太陽電池パネルの回転制御による微小振動の計測に使用される予定である。
どのように活用する?
今後は、本システムの各部分のノイズレベルをさらに下げることで、さらに微小な振動による振動センサーの校正に取り組み、人工衛星の精密振動計測をはじめとした、さまざまな分野における微小振動計測技術の信頼性の向上に貢献する予定。