生産活動を2つの視点で分解し科学的にカイゼンする
カイゼンでは「人」と「時間」に注目して生産活動を分解し、判断基準を客観化することで科学的なカイゼンを展開する、という話です。
1.標準化の3項目
標準化の3項目とはサイクルタイム、作業順序、標準手待ち。
そのために各工程での作業時間、作業の流れ、仕掛品の把握をします。
そうすることで、生産計画の精度を向上さ、問題を解決する糸口を探り、工場の全体最適化を図ることが可能になります。
カイゼンを推進するに当たっては判断基準を明確にします。活動結果の良し悪しを客観的に判断するためです。
標準化の3項目はカイゼンの判断基準としても重要な役割を果たします。
カイゼンでは標準化の3項目を含め、判断基準となり得る客観的な要素に注目します。
2.カイゼンの対象と判断基準
カイゼンに欠かせない判断基準とカイゼンの対象は表裏一体です。
判断基準が設定できないモノはカイゼンの対象になりません。逆に言うとカイゼンの対象になるモノには必ず客観的に判断できる要素が含まれています。
客観的な判断基準をハッキリさせることがカイゼンでは重要です。
カイゼンの対象になるモノの多くは、現場での生産活動へ投入される経営資源に含まれています。
ヒト、モノ、カネの3つであり、特に材料費、労務費、経費に関わる経営資源はカイゼンの対象に取り上げられます。
中でも労務費に関わる「工数」はカイゼン対象の中心です。
工数は2つの視点を提供してくれます。
工数 = 時間 × 人 (時・人)
①生産活動で「人」に関係する要因
②生産活動で「時間」に関係する要因
2-1.生産活動で「人」に関係する要因
現場の各生産工程から人に関係する要因へ分解します。
つまり、下記のように分解しカイゼン対象を客観化します。
(出典:『生産マネジメント入門Ⅰ』藤本隆宏先生 p146参考に作成)
生産工程を動作レベルにまで分解することで「人」に関係する要因を客観化します。
重視すべきは、その工程で付加される価値を認識すること。
その生産工程が存在する意義をハッキリさせることで要素作業の重要性の高低も判断できます。
重要性が低いにも関わらず、発生する問題への影響度が大きいのならば、極力、その要素作業を省くことを考えます。
一方で重要度が高ければ、当然、知恵と工夫を入れて問題点の除去に注力せねばなりません。
2-2.生産活動で「時間」に関係する要因
作業時間を2段階で把握します。
ひとつは要素作業の所要時間そのもの。
もうひとつは所要時間のうちに占める正味の作業時間。
後者は生産性を構成する作業能率に関係する数値となります。
付加価値作業の所要時間を分析し、それを全ての要素作業分積み上げれば、その作業の標準時間が算出できます。
所要時間に占める正味の作業時間の割合を増やすことで生産性を向上できます。
生産活動で「人」と「時間」に関係する要因を、カイゼンの対象になる項目にまで分解することでやるべきことが見えてきます。
「人」ならば作業者の動作レベルまで、「時間」ならば要素作業の正味時間まで分解することで客観的な判断基準を設定できます。
そして分解された要因がカイゼンの対象になります。
このように一見ブラックボックスのように見える生産活動を分解することで、科学的なカイゼン活動が展開できる条件がそろいます。判断基準が定量化され、可視化され、客観化されるからです。
まとめ
カイゼンでは「人」と「時間」に注目して生産活動を分解し、判断基準を客観化することで科学的なカイゼンを展開する。